おととい、高校の同期会があった。卒業50周年記念で、幹事が目標とした100人にわづかに及ばない出席数だったが、初めての出席者も少なからずをり、その中にJといふ友人がゐた。

 互ひに気づいて、「おお、しばらくだったな」に始まる会話をしたのだが、ところで俺たち、何でかういふ間柄なんだ?といふ話になった。クラスも違ってゐたし、課外活動で一緒だった事もないのだ。不思議だなあと笑ひあったのだが・・・。それから数時間後、二次会でTといふ女子と近い席に座った。彼女とは全く接触がなかったが、美人コンテスト上位の子だったので、こっちは知ってゐた。話しかけて私を覚えてゐるか訊いてみると、「覚えてるよ、可愛いかった」と言はれてびっくりした。生徒会の役員をやったので覚えてゐられても不思議ではないが、同年齢の女子からそんな事を言はれるとは夢にも思ってゐなかったのだ。

 実は、彼女の二つ下の妹と一つ下の従妹が自分と同じ茶道部にゐた。従妹の方は私のクラスメートの妻になってゐるといふ事情から昨年会ふ機会があり、その際三人の関係を教へてもらってゐた。そんなことを話してゐるうちに、「茶道部と言へばJ君もさうぢゃない?」「えっ、違ふだろ?」といふやりとりになった。本人に確かめるのが一番、彼を捜して尋ねると事実だった。それでやうやく不思議が解明されたのだが、互ひに忘れてゐたのは、彼があまり熱心な部員でなかったせいだった。ついでながら、彼女とJは幼稚園時代からの幼なじみで、50年ぶりに会ったのだった。

 ともあれ、互ひに記憶が飛んでゐる事を認めて苦笑するしかなかったが、さういふ事があるのも同期会の良さである。
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 AERAdot. に面白い記事が載ってゐた。田中真紀子が安倍晋三を批判してゐるのだが、この二人は1944年生まれと1954年生まれ、真紀子がちょうど10歳年長だが、1993年初当選といふ同期ださうだ。

 面白いと言ふのは歴史認識の違ひで、初当選から間もない頃ある会議で交はした私語を真紀子は日記に残してゐる。その部分を引用する。

 : 田中氏「日本が敗戦して」
   安倍氏「真紀子さん、今なんて言った?」
   田中氏「敗戦よ」
   安倍氏「あれ終戦なんだけど」
   田中氏「中国や東南アジアへの侵略戦争でしょ」
   安倍氏「違う違う。アジアを解放するために行ったんだ」:

 なるほどねえ・・・かういふ見方はもう少し後から出始めたと思ってゐたが、90年代初めには既にあったわけだ。私は「新しい歴史教科書をつくる会」の運動が世間に知れ渡ってから知ったのだが、今調べてみると「つくる会」は1996年に発足してゐた。突然できるわけではないから、もっと前からその見方があったのは当然と言ふべきか。


 ともあれ、真紀子の晋三批判は的確で、政権の運営方法を「厚顔無恥、傲岸不遜」と切り捨ててゐる。加計学園の件では、現役時代に言へるはづがないとし、前川氏が出会い系バーに通ってゐると暴露した事には「西山事件と似てゐる」と言ふ。さうさう、彼は外務官僚の女性と「情を通じて」秘密を聞き出した、として起訴されたのだった。確かにそっくりだ。私の友人は、彼のブログで「こんな人物がトップに出世する文科省の病理」と書いてゐるが、真紀子の指摘の方が核心を衝いてゐると思ふ。

 真紀子はもう退陣すべきと言ってゐるが、全く同感である。
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 「共謀罪」が成立した。徹夜となった参議院で、朝の8時少し前に可決された。衆議院通過の段階で会期末まで数日しかなく、野党の抵抗で審議未了になる望みもあった。また、それを見越して会期を延長するのでがないかといふ観測もあった。ところが現実には、委員会審議を省略して本会議で採決するといふ、異例の手法が使はれた。これは「特に緊急を要する場合」に認められてゐるさうだが、会期末が近いといふのが「特に緊急」とはとても言へない。必要なら延長も可能なのにそれもやらず、今国会で成立させなければ困るやうな法案でもない。どうやら、安倍政権の都合による「緊急」といふ意味合ひが濃厚だ。

 その「都合」についての詳細はさておき、成立自体は予想された事であるが、さういふ経過での成立だった事は記憶しておくべきだらう。それはある意味、この法律の怪しさの象徴とも言へるからだ。

 前回書いたやうに、標榜されてゐるテロ対策としてさほど有効とは思へず、戦前の治安維持法のやうな運用への懸念の方が大きい。反対意見もその点を主な理由としてゐる。さういふ心配はないと政府は言ふが、国会審議や官僚の解釈などから心配があることが見えてきてゐる。要するに、この法律が政府の方針に反対する言論や行動を取り締まるために利用される可能性が少なからずあるのだ。特に、安倍晋三の政治手法にはそれをするだらうと思はせるに足る印象がある。将来、彼ほどに強権的手法を取らない者が政権のトップに就いても、時代の様相が、時の政権にこれを悪用する事を思ひつかせるかもしれない。その際、安倍政権時代に前例があった、といふ事になるのではないだらうか。

 また、公安警察は反政府活動を監視してをり、一つ間違へば思想・信条の自由を侵害する組織なのだが、そこに踏み込まうとする場合にこの法律を根拠に適法とする事ができる。もちろん建前としてはダメなのだが、理屈は何とでもつけられる。そしてさういふ事例が明らかになると、言論が萎縮する。その行きつく先は昭和10年代である。

 治安維持法の制定からおよそ10年でさういふ時代になったのだが、仮に安倍政権があと4年半続くと、前述の「前例」がいくつか作られ、2020年代の後半あたりから「物言へば唇寒し・・・」になってしまふかもしれない。願はくは杞憂に終わってほしいものだが、もっと言へば、できるだけ早くこれを失効させる法律を作ってもらひたい。

 

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 「共謀罪」自体は過去に三度廃案になってゐるが、今回はその要件を厳しくした「テロ等準備罪」を組織犯罪処罰法の中に新設する、といふ案だと思ってゐた。しかし、調べてみるとさうではなかった。「テロ等準備」といふ名称の罪はなく、組織的に犯罪を実行する集団の構成員(二人以上)がある犯罪を実行することを計画し、準備行為に着手すると、計画に携わった人物を処罰するといふ内容である。

 では、なぜ「テロ等準備罪」といふ言葉が使はれてゐるのか。そもそも組織犯罪処罰法は暴力団の取り締まりを念頭に置いたものなのだが、国際的なテロが頻発する状況と2020年の東京五輪がその攻撃目標になり得るといふ認識から、それを防ぐための法整備が必要だと説明されてゐる。そして、万全を期すためには計画と準備の段階で処罰できるやう、前段に書いた内容を組織犯罪処罰法に盛り込む事にしたのである。それでさういふ言葉を使ってゐるらしい。


 さて、この法改正で国際テロは防げるのかと言へば、おそらく無理だらう。もしISなどが東京五輪に限らず日本を標的とするなら、彼らの本拠地で計画を練るはづだ。そして、法案が想定する準備行為としては現地の下見などが考へられる。とすれば、「犯罪を実行することを計画し、準備行為に着手する」といふ構成要件を満たすが、計画者は外国に居るので逮捕できないし、下見する者は計画に携はってゐるとは限らないからやはり逮捕は難しい。

 実際にあるかどうか知らないが、国内のテロ組織ならば準備段階で逮捕が可能かもしれない。とはいへ、競技場などの下見は一般人が見物するのと外見上同じだ。警察官が職務質問を試み、怪しいと思へばどうするか。怪しいだけで逮捕はできないから任意同行を求めるしかないが、拒否されればそれまでである。さらにしつこく、尾行して尻尾を捕まへやうとするのだらうか。それで何とかなるかもしれないが、あくまでも国内組織での話であり、さういふ犯罪に対しては現行法で十分対応できるといふ事を多くの専門家が指摘してゐる。ただし、共謀を処罰する事はできない。

 従って、所謂国際テロ組織に対して有効なのは、彼らの中の一部がある期間日本国内に潜伏し、国内組織と同じ行動様式をとった場合だけであり、しかも現行法での対処も可能である。要するに、現行法制で対処できるものは対処でき、改正しても防げないものは防げない。

 現行法で対処できないのは「共謀」の部分だけだ。すると今回の法案は、やはり「共謀」がメインターゲットといふ事になる。

 私の理解が正しければ、今回の改正案は必要ない。政府の説明では国連越境組織犯罪防止条約を批准するにはこの改正が必要とされてゐる。しかし、改正なくして批准できるといふ説もあり、私にはよくわからない。だから、条約との関連については見解を持ってゐない。

 
 そこで、現行法で対処できない「共謀」について考へてみる。そもそも「共謀罪」が三度も廃案になったのは、思想・信条の自由を侵す虞があるからだった。そこで今回、「準備行為」を構成要件に加へ、それへの歯止めとしたらしい。単純に考へれば、「準備行為」を確認した上で共謀段階に遡るやうに思はれる。ならば思想・信条の自由を侵す事にはならないと言へるのだらうか。ここで国会でのやりとりが思ひ起こされる。

 準備行為として対象になる罪は277もあり、その中に国有林でキノコを採るといふのがある。キノコを売ってテロ資金を稼ぐ事もあり得るといふのが政府の説明だった。好意的に解釈すると、「テロの資金にするには大量に採る必要がある。普通、大量に採るのはそれを業とする者しかをらず、しかも国有林で採るわけではない。だから、国有林で大量にキノコを採る者は怪しいが、少量を採る一般人は対象にならず、共謀云々で内心の自由を侵される心配もない」といふ事にならうか。

 ところが、テロの準備行為らしきものを見つけるために、警察官がキノコの生へてゐる国有林を巡回するとはとても思へない。277の罪に亘ってそんな事をするには膨大な数の警察官が必要だからだ。

 すると、キノコ採りに限らず計画段階を探る必要があることがわかる。そのための方法としてすぐに思ひ当たるのは通信傍受だ。それはプライバシーの侵害であり、ひいては思想・信条の自由の侵害になる。だから特別な場合だけに許される捜査手段であり、安易に範囲を広げるべきではない。テロ防止が目的なので安易に広げるわけではないと言ふだらうが、かういふものは次第に広がると考へるべきである。国家権力の常としてそれが言へる。ちなみに、この法案にはテロといふ言葉は入ってゐない。

 治安維持法は、共産主義や国体変革を目的とする結社を禁じた。それは思想弾圧だが、当時の日本においてはさほど奇異な事ではなかったやうだし、それ以外の思想の自由を侵害するものではないとされてゐた。しかし現実には、政府を批判する言動のほとんどすべてが取り締まられる事態にまでなった。この法案をその再来とする意見もあり、政府はもちろん、賛成者もそんな心配はないとするが、虞があるのは確かである。そして、前回の記事で少し触れたやうに、安倍政権下の現状はその虞を強く指摘する必要を感じさせる。

 
 先日、この法案が衆議院の委員会で強行採決された。数日中には本会議で可決され、参議院でも会期延長を経てさうなる見通しが強い。ただし、公正な選挙で選ばれた国会議員によって決められる訳だし、政権は議員の互選によって成立してゐる。だから、民主主義の建前からはこれが国民の総意なのだとも言へるわけで、その事に私は絶望を感じざるを得ない。思へば、当時世界で最も先進的とされたワイマール憲法下のドイツで、ヒトラーが合法的に台頭したのだっった。

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 物騒なタイトルにしてみたが、さういふものがあると聞いた事はないし(あっても表沙汰にはならないが)、私が計画を練ってゐるわけでもない。その意味は、安倍晋三が推し進める戦前回帰を止めるにはもうこれしかないのではないか?といふ事である。

 安倍は「日本をとりもどす」とか「美しい国日本」とかのキャッチフレーズを掲げてきたが、第二次安倍政権の誕生から3年半を経た現在、その「とりもどすべき美しい日本」とは、帝国憲法下の日本に近い事がわかってきてゐる。「戦後レジームからの脱却」といふフレーズも使ってゐたが、脱却した先に見据えてゐるのもそれだと思はれる。

 国民の中には、さういふ動きを阻止したいと考へる人も多いが、歓迎する人もかなり多いやうに見える。民意を反映する選挙では自民党が圧勝してをり、公明党を合わせた議席は改憲発議が可能な数になってゐる。それをバックに改憲を目指してゐるのは明らかだが、選挙では争点にしてこなかった。だから、国民の多くが自民党の考へる改憲案に賛成してゐるわけではない。

 それは安倍自身もわかってをり、去る三日の憲法記念日に、9条1・2項を残したまま、自衛隊を明確に位置付ける3項を付け加へる事を提案した(*)。これならさほど抵抗はなからうといふ読みと思はれる。その発言を含むビデオメッセージは、改憲を推進する民間の集会で放映されたのだが、新憲法の施行時期を2020年としたいとも言ってゐる。野党は「立法府の軽視」「憲法99条に違反する」などと批判し、安倍自身や自民党幹部は党総裁としての発言だから問題ないとしてゐる。

 どちらが正しいかの判断は簡単ではないが、さておき本心ではもっと多くの改正を望んでゐるのは言ふまでもない。高校の無償化を盛り込むとも言ったらしいが、それは改憲でなく法改正でできる事であり(実際、民主党政権ではさうした)、改憲論議をしやすくするための付け足しに過ぎないのは明らかだ。意図通りに議論が具体化すれば、本当に改正したい事(帝国憲法の方向への後戻り)を盛り込むはづで、3年間でできるだけやるつもりなのだらう。


 メディアへの圧力もここ数年強まってをり、多くのメディアが政権の意向に沿った報道や解説をするやうになってゐる。政権を批判したキャスターや解説者が番組を降ろされた事で委縮してゐるらしいが、それと同時にTV局の幹部と食事会をするといった搦め手からの作戦もあり、唯々諾々と参加する連中には全く情けない思ひだ。そういふ状況は「大本営発表」時代への後戻りを懸念させる。

 また、マスメディアとは別にネトウヨの跋扈も見逃せない。政権を批判する者には「反日」とか「売国奴」といった中傷が浴びせられる。彼らには反政府デモなどはとんでもない行為と映るやうだが、さういふ傾向は安倍政権になってからどんどん加速してゐる。ネトウヨは文字通り主にネット上での活動だが、「電凸」といふのもある。政権に批判的な報道などを流したTV局に電話をかけ、「あの放送はけしからん」とか「あのキャスターを辞めさせろ」などと迫るものだ。局側は、面倒な事を避けたい一心から次第に自己抑制に向かふらしい。

 言論の自由といふ大前提があるので、かういふ動きを規制する事は出来ない。逆方向からの言論や行動もあり得るのだが、まともな民主主義者はネトウヨのやうな下品さを持ってゐないので、「逆電凸」をやってもインパクトに欠けるだらう。とにかく、さういふ事態が進行してゐるのが現状なわけで、それは安倍晋三が目指す方向に近い。

 言論の自由と言へば、例の「共謀罪」にも触れねばならないが、それは単独の記事にするほどの分量になりさうなので、ここでは言論の自由を侵害する虞があることを指摘するにとどめるが、敢て針小棒大に言へば、治安維持法の再来といふ懸念すらある。

 世論調査によれば改憲はさほど支持されてゐないが、大衆は改憲を争点にしない選挙で自民党を勝たせ、ネトウヨの跋扈に有効な対抗手段もなく、民進党や共産党も多くの議席を獲得する力がない。つまり、この国は今、安倍晋三が目指す方向に動いてゐるわけだ。もちろんそれを批判する勢力もあるのだが、結果として議会で多数を占めるには至ってゐない。



 そんなわけで、まともで地道な方法でこの流れを止める事はかなり難しいと言はざるを得ない。安倍晋三の党総裁任期はあと1年半だが、党則改正でさらに一期務める可能性が出てきた。もしそれが実現して自公政権も続くなら、安倍政権はあと4年半続く事になる。すると戦前回帰はさらに進行する。それはごめんだと思ふなら、反対運動に精を出さねばならない。それでも大きな流れが止められないなら、最終的にはテロに活路を見出すしかない。安倍晋三は自民党の有力者の中でも最も戦前回帰志向が強く、彼が死ねば、誰が首相になるにせよその流れは弱くなる。それを好機と捉へてさらに流れを引き戻すのだ。

 もっとも、実際には暗殺が逆効果になる可能性もある。安易に実行すべきではないし、そもそも殺人はよくない事だ。しかし、テロリズムは一つの思想として過去にも現在にも存在する。その思想では、「殺人はよくない事」といふ常識的な命題は捨て去られるし、実行は刑事罰を覚悟した上での事だ。それを嫌ふなら自爆テロや自殺といふも選択肢もある。前者はアルカイダやISがやってゐるし、後者の実例としての山口二矢は個人的に強烈な記憶がある。

 まあ、このやうに考へる人が他にもゐるかもしれないが、多分誰も実行はしないだらう。

 (*)私は、戦力不保持条項と自衛隊の存在は矛盾してをり、それを解消するには自衛隊の廃止か改憲かのどちらかしかないと考へてゐる。それは学生時代からの意見なのだが、当時もほぼさうだったし半世紀近く経った現在はさらに、前者は現実的ではない。従ってこの案自体には、具体的な方法は別として賛成の立場である。ただし、所謂安保法制の成立を経て必ずしも防衛のためだけではない戦争も可能になってをり、この改正がさういふ方向に資する事になると見てゐる。それを踏まへると、単純に賛成とは言へない。
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