自民党は、結党以来自主憲法制定を目標にしている。しかし、そのための行動はわずかしかしてこなかった。それには様々な事情があったのだが、安倍政権になってから急速に動き始めている。さて・・・

草案については色々な批判があるが、ここでは第12条を考えてみようと思う。

改正案第12条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない

現行第12条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。


 一見して違うのは、「公共の福祉」が「公益及び公の秩序」に変わっていること、そしてさらに、「・・・のためにこれを利用する責任を負ふ」が「・・・に反してはならない」になっている。



 「公共の福祉」は抽象的な概念で、中学生には難しく、高校生ならなんとなく分かり、大学生でも法学概論の単位を取った程度ではそれより少し上、という感じだろうか。私は大学で憲法を勉強したので、もう少し深くわかったつもりではいる。

 それに対し、「公益及び公の秩序」は具体性が高く、従ってわかりやすいが、外延が狭いとも言える。私は、「公共の福祉」の重要な内容として「基本的人権が十分に保障されている状態」と勉強したが、「公益及び公の秩序」ならそうとは言いにくい気がする。

 加えて「・・・に反してはならない」とあれば、すでに確定した秩序があり、それを乱すようなことは権利の濫用とされる恐れがある。

 街頭デモ行進を取り上げてみる。これは集団的な意志表明であり、表現の自由として保障されるべき権利である。しかし、それをうるさいと感じたり、交通の障害になると考える人がいても不思議ではない。実際に私も、デモ行進ではないが大ボリュームの右翼街宣車をうるさいと感じる。うるさいのはさておき・・・。

 デモ行進は、車道の一車線分か二車線分を使うから交通の障害になることは確かである。道路交通法は「交通の安全と円滑」を法益とするが、安全で円滑な交通が確保されている状態は、一つの秩序と言えるだろう。車道を人が歩くのは安全を損なうし、スピードに着目すれば、円滑を損なう。従ってデモ行進は公の秩序に反するので権利の濫用である・・・と結論づけるのは誤っているのだが、あるレベルを超えると制限を受けざるを得ない。

 そのレベルが、改正案のもとでは低くなることが予想される。もちろん一気に下がるわけではなく、徐々に進行するのだが、それが反って危険なのだ。街頭デモは時の政府を批判するものがほとんどで、権力からはうとんじられるが、そういう表現をも十分保障せよ、と憲法は権力に命じる。改正案はそれを反故にするわけではもちろんないが、権力は隙あらばそれを狙うものだと前提する近代以降の考え方を、少し後退させたという印象がある。

 しかし、そう感じない人が無視できない割合で存在すると思われる。現在の日本は安定した社会になっており、それが保守化を促進しているからだ。だからこその改正案提示なのだろう。安倍政権の支持率はかなり高いが、一気に改憲に突き進むのは危険だ。それがわかっているから、96条の改正を先行させ、その間に「無視できない割合」が過半数になるのを待っている、ように私には見える。
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