「天地明察」

歴史小説なので、名前を知っている人物が何人も登場し、「ふーん、そうだったのか」という感想を何度も抱いた。もっとも、フィクションだから実像通りとは限らないが・・・。それは主人公春海についても言えることで、夢中になると他のことがおろそかになるという、誰にでもある面が並外れている青年として描かれている。それが一つの魅力だったのか、偶然出逢った六つ年下の武家娘「えん」に関心を抱かれる。春海からの第一印象は、きれいで気の強い娘というものだったが、私は、この二人が結ばれるのではないかという予感を持って読み進んだ。しかし、彼女はもう一人の重要な登場人物・関孝和により関心があるようだし、春海はうぶで自分の恋心にすら気づいていないのがちょっと残念だった。

 関のことは高校の日本史で名前と業績を知ったのだが、それは春海についても同じだ。そして彼については、後に碁打ち・算哲としての事も知り、囲碁・天文・暦の好きな者として名前をHNに借用している。だからこの本を知った時に絶対読もうと思ったのだった。

 この小説は、貞享暦を作った渋川春海をテーマにしているが、碁打ち・安井(保井)算哲としての側面も描かれている。その面では本因坊道策との関係が面白かった。道策は春海より七つほど若く、「算哲様、是非勝負してください」とだだっ子のようにねだる少年として登場する。しかし碁の腕はすでに春海と同格くらい、周囲から将来の大物と見られている存在だ。史上最強の碁打ちにも当然少年時代があったわけだが、作者はそういう設定をしたのだった。後に、安井春知との向二子で1目負けた「生涯の傑作」を春海がほめて道策が喜ぶ、という碁打ちとしては嬉しい場面もあった。

 この小説で初めて知ったことがいくつもある。江戸時代初期が舞台だが、和算の世界では、すでに円周率の近似値として3.14が知られていたこと、幾何の分野が人気だったこと、お城碁は当初勝負の碁ではなかったことなどだが、何よりも、貞享暦を作る過程で、地球の公転軌道が楕円であり、しかも近日点が移動することを春海が発見していたことが驚きだった。ケプラーに遅れること数十年だが、日本で独自にというのは素晴らしい。そのヒントを孝和が示唆していたというのも面白いが、史実かどうかは不明だ。

 春海は七十七歳まで長生きしたが、後妻と同じ日に亡くなったそうだ。その後妻は、最初の妻と死別した数年後に再会した、やはり夫と死別していた「えん」である。小説の終わり近くで春海が求婚し、えんも受け入れるのだが、彼女は出会い間もない頃からこうなることを予感していたような節があり、初婚を含めて当時の武家の娘として運命に従ったのだが、結ばれる運命を信じていたかのようである。まあ、この辺は作者の創作だろうが、魅力的な女性である。
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天地明察大好きです^^

私がこれを読んで思ったのは

大きな強さは
大きな優しさの中にあって
大きな夢がそれを育てるのだなぁ

って事と

私ももしかしたら天体…宇宙の星の
ひとつなのかも…

なんの不思議も感じずめくっていた星占いも
年のはじめにみる暦も
神社に行くと貼ってある厄年も
人を星に例えたもの!
太陽の光を燦々と浴びている位置
何かの星の影で暗い時を過ごす時も・・・・

などです^^

こんな風に真っ直ぐに美しく
一生を終えてみたいなー

ゆうさん、コメント感謝^^

とても素直で美しい感想ですね^^
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丸山恒平

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