ふみこちゃん

高校2年の初めから、茶道部に籍を置いていた。面白半分に入部したのだが結構熱心にやったと思う。予想通り女子が多かったが、男子も意外なほどいた。

 3年になったとき、当然1年生が入ってきたが、なぜかすべて女子だった。2学年下というのは随分幼く、可愛らしく見え、我々男子は彼女たちをちゃんづけで呼ぶことにして、妹のように可愛がったのだが、その中に「ふみこちゃん」がいた。

 文化祭の時、そのふみこちゃんと一緒に各展示室をまわったのは、どちらも誘ったわけでなく、偶然の成り行きだったと思う。その時彼女が、地学の参考書を譲ってほしいと言った。私は、地学が得意で受験科目に選んでおり、地学部にも在籍していた。校内の模試では、地学部長を押さえていつもトップだった。それを知っている彼女が、1年生必修の地学を勉強するため、そういう依頼をしたのだった。

 私は2冊持っていたが、あまり使っていない方を、やはり使っていなかった問題集をオマケにつけてプレゼントした。

 その後、普通に先輩後輩の関係のまま卒業したのだが、2年以上経ったあるとき、なぜか突然彼女を思い出し、たまらなく会いたくなった。なにかで住所を調べて手紙を書き、一方的に日時と場所を指定してデートを申し込んだ。幸いなことに、ふみこちゃんは来てくれた。短大生になっていた彼女は、当時より綺麗になっており、「先輩に呼び出されたら来ない訳にいかない」というようなことを言っていたが、とにかく楽しい時間を過ごすことができた。

 しかし、恋人関係を望んだ私に、よき先輩以上の感情は持てない、と交際を断られてしまった。手紙を書いたのは秋の終わり頃、望みが絶たれたのを決定的に理解したのは、雪がしんしんと降る真冬の夕暮れだった。アダモの「雪は降る」を口ずさみながらとぼとぼと歩いたのだが、それからほぼ40年、彼女も今年度中に還暦を迎える。もう誕生日を過ぎたかも知れない。


 孫がいる方が自然と思われるが、今も可愛らしさのある「ふみこおばあちゃん」でいるのだろうか。きっとそうに違いない。
スポンサーサイト
line

comment

Secret

No title

淡い恋の思い出ですね。高校時代でなく、その2年後の話ですが、意外に積極的なことをする人だなと思いました。まあ、私も色々有りましたけど、春海さんに比べると遥かに子供だったと思います。

アダモの雪は降るが出て来るし、このお話は1編の小説にしたいほどのものなのに、随分さらっと書いていらっしゃる。そこら辺にも私にはない大人の味を感じました。

No title

淡いといふか、辛いといふか・・・

 言はれてみれば短編小説くらいにはできさうですが、僕にはさういふ才能がありません(^^; 
line
line

line
プロフィール

丸山恒平

Author:丸山恒平
FC2ブログへようこそ!
1949年1月生まれ、還暦を期にブログを始めました。記述することは多岐にわたります。
コメント歓迎・反論歓迎・トラックバック歓迎・リンクフリーです。

BLOGRAMに登録しています。できればカレンダーの下のタグをクリックしてください。

line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
line
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
line
フリーエリア
line
フリーエリア
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QRコード
line
sub_line