団塊世代が日本をダメにするだと?

本屋をうろついていたら、「団塊のジジババが日本をダメにする」という、聞き捨てならぬ挑戦的なタイトルが目に入った。


 手にとって目次を見、二つ三つの項目を読んでみた。すると的外れなことが書いてある。まず、3月の震災後、寄付やボランティアは集まったが、震災孤児を引き取るというのは皆無に等しいという。そして、団塊世代は停年を迎え、十分な資産と時間を持っているのに、それを孫へ注ぐばかりで社会的な寄与をしようとしない、欧米ではそういう立場の人の多くが孤児の里親になって第二の子育てをするのに・・・と批判している。

 その通りなのかも知れないが、それは何も団塊世代に限ったことではないだろう。そもそも日本には、老後里親になって云々という伝統がない。少数の篤志家がそれをしているが、老後の社会貢献というより、現役時代に始めるのが普通だし、それは昔も今もさほど変わっていないと思われる。


 また、日教組が学校群制度を推進したことを取り上げておおむね次のように批判している。いじめは受験勉強のストレスが原因だからそれをなくすために厳しい受験勉強を緩和する、というのが理由だったが、実際は1・2年生にいじめが多く、3年になると勉強に打ち込むので少なくなっている。そして、受験の厳しさは何も変わらず、公立の名門校に優秀な生徒が集まらないという結果を招いただけである。

 これもその通りかも知れないが、1960年代終わり頃の話であり、日教組のリーダーは団塊世代ではい。


 さらに山本義隆を取り上げて言う。彼は反権力を標榜し、それゆえに東大を去ったにもかかわらず、「磁力と重力の発見」でいくつかの賞を受けたが、反権力なら辞退すべきであると。しかし、受賞したのは、「パピルス賞」「毎日出版文化賞」「大佛次郎賞」である。あとの二つは大新聞社のものだから「権力」と言えないこともないが、「パピルス賞」は、(検索してみると)関科学技術振興記念財団が「制度としてのアカデミズムの外で達成された学問的業績」などを対象にして創設したものだ。だから少なくともこれについては、「辞退すべき」というのは当たらない。そういう検討を省いて、とにかく賞をもらうのは変節だ、というのは非常に雑な言い方だ。そして山本は団塊世代ではない。次に書く小田・槙枝の場合と同様に、著者は彼を批判することで彼を指導者としていた東大全共闘、ひいては全国の全共闘運動に関わった団塊世代を批判したいのだろうが、具体的な批判はない。ひょっとすると、あんたたちはこんな変節漢を仰いでいたんだよ、と言いたいのかも知れないが、それなら、大学教授とも思えない実に非論理的なものいいだ。


 小田実やミスター日教組と言われた槙枝元文が北朝鮮を礼賛し、拉致問題や北朝鮮の実態が明らかになっても誤りを認めなかったこともやり玉に挙げているが、彼らも団塊世代ではない。もっとも著者は、団塊世代が彼らを支持し、誤りを認めないことも受け継いでいることを批判しているのだが、はたしてそうだろうか。

 小田を支持した者の多くは団塊世代だったと思われるが、槙枝の支持層はもっと上の世代である。私は槙枝をよく知らないし、小田もさほど知っているわけではないからいい加減なことは言えないが、小田への支持にしても、ベトナム戦争とそれを支える日米安保への反対と、組織より行動を、という運動論の部分が主である。そして、反戦はだれにでも受け入れやすいが、反安保は反体制だから多くの人は簡単には同調できない。ましてや北朝鮮礼賛(私はそれを知らない)は共産主義そのものである。先鋭的だった団塊世代にしても、それらをすべて支持していたわけではない。そういう者もいただろうが、40年後に「団塊のジジババ」と一括りにするのは乱暴に過ぎる。


 そして、「あとがき」にはこんなことが書かれていた。「ジジババ」とは親しみを込めた呼び名である、現代は人の成長に時間がかかる時代であり、60歳を過ぎても昔の40歳前後でしかない、だから団塊世代にはがんばってほしい。  ふーん、そうなの・・・?

 著者は正高信男という1954年生まれの人物で、私は全く知らなかった。サルの研究が本職らしいが、彼には次の言葉を投げかけておく。

 君は、ベビーブームが去ってから5年後に生まれ、ずっと団塊世代という大勢力に頭を押さえられてきた怨みを晴らしたいのか?こんなに雑な批判にそれが見え隠れしているが・・・。普通は蔑称と受け取られる「ジジババ」をタイトルに使っておきながら、「親しみを込めた」と弁解したり、エールを送ることによってそれを隠すのは卑怯だよ。そして最後に、君は引退後孤児の里親になるのか?



 ほんの一部しか読んでいないので、これは言わば「雑な」批判である。きちんと書くには全文を読む必要があるが、他の部分に価値ある内容が書かれているとも思えない。「書評」でなく「感想文」だから構わないだろう。
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