「束脩」

もう一つ、「漢字の字源」から・・・

 「束脩(そくしゅう)」という熟語を初めて見たのは「ゴルゴ13」の一場面で、数ヶ月前の事だった。ゴルゴがある依頼を遂行するために弓を習う、というストーリーなのだが・・・。師匠は数百年続く弓道の家系を世襲したばかりの若い女性で、教えるためにゴルゴの背後に回ったとき、咄嗟に攻撃される。それが彼の習性であることを悟った彼女は、教えるにはそうせねばならぬから、攻撃の意図がないことを示すため一糸まとわぬ姿になる。この場面は一つの見せ所なのだがそれはさておき、極意を会得したゴルゴが「束脩(*)を納める」と言うのだ。注釈がついていたので、作者も多くの読者にとって知らない言葉と認識していたのだろう。

 ちなみに、彼女はゴルゴの「職業」を察し、この技を殺傷に使わないことを願って束脩を辞退するが、ゴルゴは依頼遂行のあと、いつもの前払いに加えて得ることになった成功報酬を彼女の口座に振り込ませる。実は、世襲した家系は実戦的な弓を教えるので弟子はわずか、従って非常に貧しかったのだ。そして、ゴルゴへの依頼は人を殺すものではなかった。


 ゴルゴに深入りしてしまったが、さて「束脩」である。

 「脩」というのはスライスした乾し肉に味付けしたもので、ビーフジャーキーのようなものだそうだ。だから、にくづきが部首として使われている。それを束ねたのが「束脩」であり、普通は十枚一束だった。古代中国では脩が贈答品としてよく使われ、特に学問を習うためにある人に弟子入りする際、謝礼として持参したそうである。「論語」にも、孔子はわずかでも束脩を納めた者にはすべて弟子入りを許したという話が書かれている(述而編)そうだ。ついでながら、人名で「脩」を「おさむ」と読む(三原脩など)のはそういう意味からであることもわかった。

 この本には、「ひと昔前までの日本でも、(中略)謝礼を包む袋に『束脩』と書くことがしばしばあったものだ」とあるが、私は見たことがない。著者は私より2歳若いが、大阪生まれということなので、関西ではこの言葉が使われていたと思われる。


 なかなか味わいのある言葉なので、廃れてしまったのは惜しい気がする。何かの機会に使ってみたいものだが、間違いなく質問されるだろう。そこで蘊蓄を語る・・・というのも悪くないが、ヘタをすればひんしゅくを買うかもしれない。

 (*)「脩」は音が通じるので「修」と混同され、やがて同じ意味で使われるようになった。ゴルゴ13でも「束修」となっていたかもしれない。
スポンサーサイト
line

comment

Secret

line
line

line
プロフィール

丸山恒平

Author:丸山恒平
FC2ブログへようこそ!
1949年1月生まれ、還暦を期にブログを始めました。記述することは多岐にわたります。
コメント歓迎・反論歓迎・トラックバック歓迎・リンクフリーです。

BLOGRAMに登録しています。できればカレンダーの下のタグをクリックしてください。

line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
line
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
line
フリーエリア
line
フリーエリア
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QRコード
line
sub_line