民法772条とDNA鑑定

 民法772条は、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」と定めている。「嫡出の推定」というものだが、最高裁でこれに関わる興味深い判決が出た。


 離婚した妻が、娘の父親が前夫ではないことの確認を求める訴訟を起こし、一・二審ともそれを認めたのだが、最高裁が逆転判決を下した。元妻の訴えの根拠はDNA鑑定だ。そもそも法律用語としての「推定」は、「Aであることに対する反証が見つからない限りAである」という意味で、仮に反証が見つかってもAであることが覆らない「見倣し」とは違う。DNA鑑定の結果はその「反証」に相当するわけで、二審までが請求を認めたのはそういう法律論を適用したためと思われる(詳しい判決理由は知らない)。

 最高裁はどういう理由でそれを覆したのか・・・、ラジオで聞いた判決理由はよく覚えていないが、DNA鑑定がすべてではないという考えに基いているのは確かだ。前夫は、「血縁で築く親子関係もあると思うが、愛情と時間の蓄積(も重要)だ」と主張していたそうで、娘の出生から離婚までの1年2ヶ月を重視してもらいたかったのだろう。最高裁はそれを認めたことになるわけだが、問題もある。元妻はすでに血縁上の父親と再婚しており、その彼にもそういう蓄積があると思われるからだ。そのせいか、小法廷で3対2というきわどい判決である。

 いずれにしても、気の毒なのはまだ5~6歳のお嬢ちゃんである。今回認められた「父」とは両親の離婚後面会しておらず、おそらく記憶はほとんどないだろう。だから現在同居している「父」を実父と思っているはずだ。前夫が親子関係をあきらめれば、血縁としても実生活の上でも問題はない。それが元妻の訴訟理由でもあった。しかし、前夫の、娘を慈しんで過ごした時間を継続したいという気持ちは、経験のない自分にはわからないが、無理もないと思われる。


 世間には、実の親と育ての親とがいる子供は、事情は様々だが少なからず存在する。このお嬢ちゃんもそういう子供たちの一人になるわけだが、いずれその事情の特殊性に悩まされることになりそうだ。それを救うのは親しかいない。今回の判決は、親たちにこそ課題を突きつけたものと言えるだろう。
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