囲い込み(エンクロージャー)

 「囲い込み」といふのを高校の世界史で習った。しかし、いつ・どこで・なぜ・・・などについては、ヨーロッパといふ以外全く覚えてゐない。世界史は、他の社会科4科目とともに必修だったが、あまり面白くないといふ印象で、熱心にはやらなかった。だから、重要な項目自体は覚えてゐるが、内容まで理解できてゐるのはわずかしかなく、囲い込みは、用語だけの知識の代表的なものかもしれない。

 さてその囲い込みだが・・・これは15~16世紀のイギリスで起こった動きだった。当時のイギリスは毛織物産業の成長期だったが、たまたまヨーロッパ全体が寒冷な気候になってゐたため、羊毛のセーターやコートなどが飛ぶやうに売れた。すると当然羊毛の需要が高まる。

 そのため、イギリスの領主や地主たちが農民を追ひ出して羊を飼うやうになった。その際、それまでの農地を塀などで囲って牧場にしたのだが、これが囲い込みだ。人を囲ひ込むといふ感じを何となく持ってゐたが、全然違ってゐたた。


 実はこれ、「世界史の極意」といふ本で知った事である。著者は佐藤優、彼の著作は初めて読んだのだが、さてをき、囲い込みの世界史的意義は次のやうに解説されてゐる。囲い込みによって追ひ出された農民は都市に出て行く。彼らには身分的な制約がなく、土地も生産手段もない。従って生きるためには労働力を売るしかないわけで、多くは毛織物工場に雇はれた。これが「労働力の商品化」、世界で初めて起きた事象であり、マルクスが資本主義社会の本質とした事柄である。

 資本すなわちお金を持つ者は、それまでも、他の国にも、たくさんゐたが、様々な理由から労働力を買って生産するといふスタイルは生まれなかった。それに似た生産様式はあったが、労働力を提供する者には身分的制約があった。ざっくり言へば隷属してゐたわけであり、自由に労働力の販売先を選べるわけではなかった。また働かせる方も、どこからでも労働力を調達できたわけではない。

 かくして、イギリスで資本制生産様式が産声を上げ、資本主義社会が出現する。イギリスの産業状況と寒冷な気候とのマッチングが世界史の重要なターニングポイントになったといふわけである。

 教科書にさう書かれてゐたかどうかはもちろん覚えてゐないし、別の論者が同様のことを言ってゐるかどうかも知らない。また、マルクスがさう書いてゐるかどうかも知らないが、説得力のある見解であり、とても勉強になった。
スポンサーサイト
line

comment

Secret

line
line

line
プロフィール

丸山恒平

Author:丸山恒平
FC2ブログへようこそ!
1949年1月生まれ、還暦を期にブログを始めました。記述することは多岐にわたります。
コメント歓迎・反論歓迎・トラックバック歓迎・リンクフリーです。

BLOGRAMに登録しています。できればカレンダーの下のタグをクリックしてください。

line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
line
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
line
フリーエリア
line
フリーエリア
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QRコード
line
sub_line