「ラプラスの魔女」 東野圭吾

 この小説は、土曜日のTV番組「王様のブランチ」で知ったのだが、その瞬間「ラプラスの悪魔」を思ひ出した。もっとも、どういふものかは、「マクスウェルの悪魔」や「シュレディンガーの猫」のやうな、思考実験における仮想的な存在、といふこと以外忘れてゐた。

 この小説を楽しむためのキーワードが四つ示されてゐたが、そのひとつ目が「科学」で、さもありなん・・・。是非読みたいと思ひ、発売日(15日)の二日後に購入した。で、改めて「ラプラスの悪魔」について、ああさうだったと思ひ出し、さらに「ナビエ・ストークス方程式」といふ初めて見る述語の知識も得た。流体力学の難問ださうで、著者はよく勉強してゐると感心させられる。


 さて、この作品は空想科学ミステリーである。事件は殺人、しかし普通に考へられる殺人ではない。温泉地で硫化水素を吸って死ぬ、といふ偶然の災害にしか見えないのだ。だが、被害者をとりまく状況は殺人を疑はせるに十分だし、その災害は発生確率が極めて低い。

 つまり、硫化水素が致死率に至るほどの濃度になるには地形や気象の条件が厳しく、局所的で時間的にも短い。さらに、そこにその時人が居るといふ条件を加えると、あり得ないほどの偶然といふわけだ。そして、時間と場所を隔てて同じ事が起きる。かうなると、自然災害ではなく人為的な殺人と考へる方が自然だが、すると今度は殺害方法があり得ない、といふジレンマに陥る。そのジレンマは二人の登場人物、科学者と刑事によって読者に提示されてゐる。

 そして、謎を解く鍵が「ラプラスの悪魔」と「ナビエ・ストークス方程式」である。タイトルは主人公の少女を指してゐるのだが、彼女は「殺人犯」ではない。


 これ以上は内容に立ち入らないが、とても面白かった。「殺害」方法はもちろん、直接手を下してゐない「犯人」の置かれた状況やその父親の人格など、よくも考へつくものだ。東野の作品は、「容疑者Xの献身」以来いくつか読んだがどれも面白く、凄い作家だと思ふ。

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