隣家の離れから飛び火?

 先日、あるワイドショーで、安倍首相が今回の集団的自衛権について説明してゐた。偶然見たのだが、隣家の火事といふ喩へを使って説明してゐた。以下のやうな説明である。

 隣家には母屋と離れがあり、我が家はその離れと接してゐる。隣家の母屋が火事になっても、我が家は消しに行かない。離れに延焼しても同じ、ただし離れから我が家に延焼しさうになったら離れの消火を手伝ふが、隣家の敷地には入らない。

 つまり、離れから我が家に延焼しさうだといふ状況が、限定的に集団的自衛権を発動する条件といふわけである。なるほどと思はせる説明でわかりやすいのだが、喩へといふものには、必ず捨象される部分がある。それが些末な事なら問題ないのだが、重要な事を隠してしまふ危険もある。

 安倍首相の説明には、まさしくさういふ危険がある。まず、「母屋・離れとは具体的に何か」といふ説明がない。火事の話ではそんなものは不要だが、事は戦争である。普通に考へれば、「母屋」はアメリカの戦争、「離れ」もさうだが特に日本に影響がある戦争、といふことにならう。ではそれはどのやうな戦争か・・・例へばイラク戦争のやうなケースで、アメリカが艦隊を展開して海上からの攻撃を企図してをり、イラクが対抗上ペルシャ湾に機雷を敷設する。すると、中東からタンカーで原油を運ぶ日本にも影響がある。だが、それが日本が攻撃されさうだと認定する状態かどうか。機雷は防御のための兵器であり、自衛権の発動ではあるが反撃と言へるのか、軍事には疎いのでよくわからないが、火の勢いや風向きでもらい火になるかどうかを判断するよりは間違いなく難しい。 

 また、隣家の敷地には入らないと言ふが、このことの具体性もよくわからない。前線には行かず後方支援だけをやる、といふ意味にもとれるが、実際の戦争でその区別ができるかといふ問題がある。後方支援部隊が攻撃されることも十分あり得るわけで、それに反撃すればもうそこは前線と言へるのではないのか。まさか、やられっぱなしに甘んずるのではあるまい。


 このやうに、ちょっと考へただけでもいくつかの捨象された要素が浮かび上がる。また、その番組でやくみつるが指摘していたやうに、アメリカは、火事の喩へで言ふなら世界のあちこちで放火に近い事をやってきた国である。場合によっては、日本が結果的に放火の片棒を担いだことにならないとも限らない。

 首相の説明は、TV番組でのわかりやすい説明といふもので、国会での緻密な議論ではない。しかし、だからといって重要な部分を無視していいわけではないはずだ。それを承知の上で、喩へによる隠蔽を図ったものと思はれる。実は、安倍氏には「軍服を着た首相」といふ評価がある。保坂正康が書いてゐる(「安倍首相の歴史観を問う」)のだが、これについては改めて書くことになるだらう。

 
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