津波てんでんこ

 東北地方の太平洋岸に、この言葉が伝はってゐるさうだ。さきほどたまたま観てゐた、震災5周年関連のTV番組で知ったのだが。

 津波が来たらてんでんばらばらに逃げろ、といふ教へである。家族や友人などに構はず、自分の命を守ることを優先せよ、といふ意味なのだが、これが実は難しい。5年前に多くの人が津波で命を落としたが、家族も一緒にと考へたため、共々に・・・といふ人もかなりゐた。私の高校の後輩で高校の教師をしてゐた女性も、顧問を務めてゐた水泳部の生徒を気に懸けて海沿ひにあるプールに向かったため、犠牲になった。それは美談として残ったが、本人が落命したことは厳然たる事実だ。

 番組では、「津波てんでんこ」を改めて教へる活動が紹介されてゐたのだが、それに携はってゐる人には、厳しく言へば人助けしないことを奨励することになるのではないかといふ思ひもあるらしい。だが、突き詰めればやはり自分の命を守ることが大事、と人々は理解してゐるさうだ。


 これは人間のあり方の問題でもある。自らを犠牲にして他者を守るといふのは究極の愛の形であり、男女の恋愛にも、親子の情愛にも現れる。また、消防士などの職業上の使命感にも関はるかもしれない。私の後輩の行動が美談として語られるのもそれゆゑだ。人には生き甲斐が必要だが、死に甲斐といふ言葉もある。社会から讃へられ、残った家族が誇りに思へるなら死に甲斐があったと言へるだらう。ただ、命はもっと長らへてほしかったといふ思ひは当然残る。

 さてをき、「津波てんでんこ」である。この言葉がいつからあるのか、もちろん知らないが、ひょっとすると貞観の津波の後に言はれ始めたのかもしれない。であれば千年来の教へであり、その重みは上記のことをすべて飲み込むものなのかもしれない。
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