皇統断絶は避けられない?

 以前から「皇位継承」といふカテゴリーにいろいろ書いて来たが、どうも断絶は避けがたいのではないか、といふ感じを抱いてゐる。その時期は確定できないが、歴史の必然ではないだらうか。

 まづは皇室の歴史を概観してみる。神武天皇が実在したかどうか、史実として確定できる最初の天皇は誰かなどはさてをき、継体天皇から現代までの系譜にはほとんど異論がないと考へる。すると、約1500年連綿と世襲されてきた歴史を持ってをり、原則として男系男子継承が守られてきたことにも異論はないだらう。八人・十代の女帝が存在したがすべて男系であり、おおむね(詳細は省く)「男性天皇への中継ぎ」と理解して大過ない。


 そして明治になり、皇室典範が「皇室の家憲」として大日本帝国憲法とともに制定された。その際、いろいろ検討した結果男系女子の天皇を排除したのが事の発端である。大正天皇は側室を置かなかったらしいが、制度としての側室を否定したのは昭和天皇だ。天皇自ら理由を語ったとは聞いてゐないが、時代の趨勢を考慮したのだらうといふ推測は的外れではないと思ふ。

 また、ほぼ同時期に、財政上の理由などから宮家の範囲が縮小されることが決められてゐる。その段階で、男系男子継承を担保してきた側室と宮家の消滅あるいは縮小によって、それが困難になることが客観的には予測可能だったはずである。その上での対処を誰も考へないうちに、敗戦から占領といふ事態になり、新憲法・新皇室典範ができ、11の宮家は強制的な皇籍離脱となった。なを、皇室典範は「皇室の家憲」から普通の法律へと性格が変わった。

 現天皇は、皇太子時代に恋愛結婚された。そのお子様たちも同様で、今では「恋愛結婚」はあまりにも当然なため、すでに死語に近いがさてをき、皇太子妃雅子様にはなかなか子供ができず、国民もやきもきした。やうやく産まれたのが愛子内親王で、その後は懐妊せず、すでに出産適齢期を過ぎてゐる。その間の「男児出産プレッシャー」は相当に辛かったと推測され、加えて様々なバッシングもあって適応障害といふ病気になってしまはれた。

 その後、秋篠宮家に悠仁親王が産まれ、男系男子継承はかろうじて当面の危機を脱した。しかし、紀子様もさらなる出産はもう無理で、「皇室の年少男子は一人だけ」が確定した。そこで、悠仁親王が結婚適齢期にさしかかる2~30年後を考へると、果たして結婚相手がゐるかどうかといふ疑問が湧いてくる。そのことには、mikoinrpさんのブログhttp://blog.livedoor.jp/mikoinrp/で気づかされたのだが、仮に恋愛関係になっても、雅子様の例を知ってゐる世代に、娘を嫁がせる決心がつくとは考へにくいし、当人も反対理由を聞かされれば二の足を踏むだらう。

 振り返れば、美智子様も雅子様も初めは断ったし、その後もかなり逡巡されたと聞いてゐる。正田家や小和田家がどう考へたかまでは知らないが、最終的には皇太子の熱意が勝ったのだらう。しかし、実例を見てしまってからは、さうなるといふ保証もないのだ。


 そこで女性天皇である。もしそれがすでに決められてゐる状況だったなら、雅子様の苦悩も少しは軽減されたに違ひない。今それを言っても詮無きことだが、将来の皇太子妃の負担が減るとは言へるし、皇統断絶の怖れも半分になる理屈だ。ところがまた次の問題が生じる。それは、ほかならぬ女性天皇の配偶者である。

 女性天皇とその子孫たる女系天皇を認めた場合、天皇になるべき女性も結婚の必要があるが、皇室に入ることを決意する男子が果たして現れるだらうか。なにしろ、「天皇の夫」といふ日本史上初めての存在になるのだ。そのプレッシャーは想像に余りある。遠縁であれ皇室の血を引く者なら可能、との考へもあらうが、その人物が恋愛の対象になる保証はない。さういふ人を見つけて説得し、本人たちの意志に関係なく結婚させる、といふのは時代錯誤として退けられるだらう。

 すると、男系男子を貫くにしろ女系を認めるにしろ、皇族と結婚する人が皆無になる日がいつかやってくるのではないだらうか。原理主義的な皇国史観からは、「さういふ危機的状況には、天佑神助によって国体が護持される」との言説がなされるかもしれない。だがそれは単なる希望でしかない。


 一夫多妻の時代は長く続いたが、それは特権階級だけのこと、一般人は一夫一婦であり、それが特権階級の頂点たる皇室をも呑み込んだのは歴史の必然だ。家同士で結婚を決めることが廃れ、さらには自由な恋愛によって男女が結ばれるのが当たり前になったのも、周囲が出産プレッシャーをかけなくなるのも同様である。それが皇室を呑み込めば、皇族との結婚も重荷が減るが、皇統断絶を避けるため、出産だけは譲れない。ならば時代との矛盾は避けられず、いつか破局を迎へることになるだらう。ただし、不妊治療の進歩がそれを解消する可能性はある。
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No title

あるサイトでは、体外受精とかクローン等も将来的には考える必要があるという人がいました。
そこまでするの?と思いますが、どうせ私の死んだ後のことでしょう。

No title

 体外受精なら、不妊治療の一環としてあり得る事でせうが、クローンとは・・・与太話のたぐいですねえ。
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丸山恒平

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