「生前退位」に改憲は不要

 8/22に、内閣法制局が「生前退位を制度化するには改憲が必要」と指摘してゐることがわかった、といふニュースが流れたさうだ。私はそのことを今日あるサイトで知ったのだが、「何を馬鹿なこと言ってるんだ」と思った。

 8/8にも書いたが、皇室典範の改正で行うのが自然な対応だ。特例法といふ意見もあるやうだが、それも適切ではない。

 このニュースの表現は、法制局からリークされたことを示してゐるが、その理屈は以下のやうなものらしい。

 ①天皇の地位は国民の総意に基づくのだから、天皇個人の意志で退位するのはそれに反する。
 ②今上天皇に限って認めるのなら特例法による対応が可能だ。

 まづ①についてだが・・・国民の総意とは何かといふ事が問題になる。上の理屈では、天皇の意志がそれを超えることになると考へるのだらうが、国民の総意とは、通常法律に表れる。つまり、選挙によって構成される国会で決められる法律が、結果として総意を形作るわけだ。だから、典範の改正によって退位が可能になれば、それが国民の総意である。もし審議の結果さういふ改正が成立しないなら、改めて現行典範が総意であることが確認され、退位はできない。

 また、いはゆる世論も総意の一つの形と言へるが、それは制度化されたものではない。大規模な世論調査によって退位が支持されても、ではどうぞご退位を、とはならない。国民投票なら可能だらうが、さういふ規定はない。法制局は、天皇が退位を望んだ場合には国民投票にかける、といふ改正を言ってゐるのか?「制度化するには」とのことだから、明らかにさうではない。

 次に②であるが、寿命が延びた現代、病気や事故などから最大限に守られてもゐる天皇が、かなりの高齢まで生き続けるのは相当確率の高い事であり、今の天皇に限るのは実態に即してゐない。将来の天皇も同じ事を望んだら、その都度特例法を作るのだらうか。それなら典範で制度化する方が安定的で望ましい。定年制のやうに、「退位しなければならない」といふ趣旨の改正ではないのだ。


 以上は、憲法・法律を少ししか勉強してゐない私の私見だが、大きな誤りは犯してゐないはずだ。それどころか、高校生でもわかる程度の常識に近いとすら思ふ。それが専門家の集まりである内閣法制局にわからないとは・・・ちなみに、ネット上では改憲不要が通説とされてゐる。ただし、②については、法理論上誤ってゐるわけではないから、選択肢としてはあり得るが適切でないといふだけである。

 とすれば、なんらかの政治的な意図が隠されてゐると勘ぐるのが大人の常識だらう。ではそれは何か。あるサイトでは、天皇を元首として「国民の総意」の上位に置く意図だとしてゐた。これは帝国憲法の天皇像に少し近く、いかにも安倍政権が考へさうなことである。しかし、そこまで言へるのか、私にはわからない。現段階では、どう改正するのかが示されてゐないことでもあるし・・・。

 それより、仮に当たり障りのない第1・2条の改正であったとしても、改憲の経験をすることで、将来の本格的改憲への地均しとする意図ではないだらうか、と私は考へる。いはゆる「お試し改憲」だ。


 さてをき、実際には、近々有識者会議を設置して特例法を軸に検討する、といふ流れにあるらしい。それが事実なら、あまりほめられたことではない。私見によれば適切でないからだ。ただ、もし典範改正で対応するなら、女系天皇のことなども検討せざるを得なくなるといふことを考慮してゐるのかもしれず、それは一応理解できる。その件を盛り込むと、議論沸騰で決着がつきにくいと予想され、間に合はない虞があるからだ。といふより、男系男子論者の安倍晋三としては、そこに踏み込みたくないのだらう。一連の動きには、さういふ諸々の背景があるものと私は考へる。

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