テレビとスマホ

 3日のダイヤモンドオンラインにかういふ記事があった。

 私はあまり映画を観ないが、この二つのタイトルは知ってゐる。もっとも、内容はほとんど知らない。筆者の岸博幸氏はよくTVに出てくるので知ってゐるが、彼によれば、二つとも映像が美しく、それがストーリーを差し置いて評価されてゐるといふ。そして、内容は軽いが映像の美しいものがヒットするのはスマホの影響である、といふのが記事の趣旨の一つで、その理由を次のやうに述べてゐる。

 :スマホを使い過ぎると、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となり、またテキストの読み方やコンテンツの鑑賞の仕方が気楽で快適な“浅い読み”ばかりになります。:

 映画に関しても、内容は軽く流して映像を楽しむといふ姿勢になるので、かういふ映画がヒットすることになるといふわけだ。


 テレビの普及が加速したころ、「テレビを見るとバカになる」といふ意見があった。誰が最初に言ったのか知らないが、受け身の状態でどんどん情報が流れてくるので、自分で考へる必要がなくなり・・・といふのがその理由だったと思ふ。中学生だった私は、ほぼ同意しながら観たい番組だけを見てゐた。

 それから半世紀、ネット時代になって検索すれば何でもわかるやうになった。しかも、スマホのおかげで「いつでもどこでも簡単に」わかる。さらに色んなアプリがあって、多くの人々がかなりの時間スマホをいぢってゐる。バスや電車の中で新聞や週刊誌を読む人は殆どをらず、スマホが取って代はった。

 そもそも、PCやスマホなど電子的に表示された文章と紙に印刷された文章では、読む際に脳の使ひい方が違ふといふ説があったと思ふ。その当否は分からないが、スマホで読む際は軽く読み流すことが多いといふのは何となくわかる。そして私としては、やはり「手間」を重視したい。例へば分からないことを調べるのに百科事典を利用する場合、その項目のある巻を手に取り、ページを繰ってそこに行きつく。もし百科事典を持ってゐなければ図書館などに行く必要がある。ウィキペディアなら30秒とかからずに目的の記述に行きつけるだらうが、手間をかけた分きちんと読むことになり、従って忘れる率も低いと思はれる。

 書籍や雑誌も、買ったり借りたりの手間がかかるし、買ふ場合はお金もかかる。居ながらにしてほとんどタダ同然で手に入るものより、手間やお金をかけて手に入れたものを大事にするのは当然で、それが情報や知識なら頭に残さうとするだらう。

 始終スマホをいじってゐることでさういふ能動的な作業から遠ざかるとすれば、岸氏とは少し違ふ理由ではあるが同じ結論が導けるだらう。といふか、少しアプローチが違ふだけで、同じことを言ってゐるのかもしれない。即ち、次の部分だ。

 :スマホを使い過ぎて、多くの人が知的な面で非常に怠惰になってきているのです。:

 これは、半世紀前に言はれた「テレビを見るとバカになる」の理由と、ほとんど同じだと思はれる。本当にバカになるのか、また「スマホ中毒」が蔓延して日米ともに将来が危ういのか、それは分からないが、「知的な面で怠惰になる」ことが好ましくないのは言ふまでもない。

 

 


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