電報

 電話がまだ一般家庭にはなかったころ、最も速い通信手段は電報だった。代表的なのは「ハハキトク、スグカエレ」という類のもの、電報が届くとまず思うのは、親戚のだれかが危篤か?ということだった。

 小学生の時、母の妹から母宛に何度か電報が来た。母はその都度汽車に乗ったが、最後の電文は「○○シス」だった。○○は彼女の夫で、享年50歳だった。

 それから10年近く経って私が受け取ったのは、「ハナチル」の文面だった。言わずと知れた大学受験失敗の報だ。

 さらに約2年後、私が旅先から自宅宛に打った電報は、「ゆくりなく東海道より参りけり雪の崩れし北陸避けて」という三十一文字だった。冬休みに本州のあちこちを巡る旅行をした時のことだ。その出鼻、裏日本を経由する青森発大阪行の特急「白鳥」で京都に向かったところ、北陸地方が雪崩のため不通になり、新潟から上野行きの急行、さらに東海道新幹線、という迂回ルートに変更になった。予定より何時間も遅れての到着だったが、それを短歌にして打電したのだった。

 その頃にはもう電話がかなり普及しており、電報といえばほとんどが祝電か弔電だったが、何かの記念という意味の電報がまだ生き残っており、これはその一つだった。

 今、電報はほとんど使われていないように思う。慶弔ものもレタックスに取って代わられ、わずかに言葉としての「祝電(弔電)披露」が残っているだけである。「平成になって消えたもの」は色々あるが、電報はその代表格かも知れない。
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1949年1月生まれ、還暦を期にブログを始めました。記述することは多岐にわたります。
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