藤圭子ふたたび その2

 ところで私が初めて彼女の歌を聴いたのは、街頭放送で流れていた「女のブルース」だった。なにかグッと来るものがあり、30歳くらいの歌手だと思ったが、あとで18歳の女の子と知って驚いたものだ。その後、4月の記事で触れた五木寛之の文を読み、そのLPを聴いてみたいと思ったが、ステレオはおろかモノラルのプレーヤーもない自分にとって、レコードを買うという行動はあり得ないものだった。だから、土曜深夜の「演歌の星」という彼女の番組を見るのが楽しみだった。ちなみに、その番組に前川清が花束を持って訪れたのを見て、この二人は結婚するのではないかと予感した。
 
 時代は70年安保闘争と学園闘争がリンクした数年間が終わり、私は腹に一物ありながらも同時に虚無感を抱き、この先どう生きていくかを模索し始めた頃だった。それは、私だけではなく多くの若者に共通する状況で、「腹の一物」が”怨み”である者も少なくなかったはずだ。そういう時代の雰囲気に彼女の歌はマッチしていた。「新宿の女」にある”バカだなぁ、バカだなぁ”という自嘲、「圭子の夢は夜ひらく」の”忘れられない奴ばかり”という回顧、さらには”どう咲きゃいいのさこの私”という戸惑いなどは、当時の気分そのものだったのだ。

 数年後、就職してからステレオを買ったが、当然そのLPは売られておらず、行きつけのスナックで知り合った人からもらうという幸運に恵まれなければ、一生このLPを聴く事はなかっただろう。(つづく)
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1949年1月生まれ、還暦を期にブログを始めました。記述することは多岐にわたります。
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