「破天荒」と「襲名」

 「破天荒」という言葉に接したのは高校3年の時だった。「天荒」という状態を「破る」ことで、前人未踏の快挙を成すという意味を辞書で調べ、「ふーん」と思ったものだ。

 ところがここ十数年、これが「型破り」とか「常識を越えた」という意味で使われている。初めてそれを見たのは勝新太郎が亡くなったときの新聞記事で、彼の生涯を「破天荒な人生」とまとめていた。私はその新聞に「この使い方はおかしい」という投書をし、読者の声の欄に載ったが、なんの効き目もなかった。その後もこの意味での使い方が増え、最近ではマスコミが本来の意味で使うのを見聞したことがない。

 一方「襲名」は誰かの名前を継承することで、伝統芸能などの分野で広くおこなわれている。ところが貴乃花がその功績によって「一代年寄貴乃花」を名乗ることを許されたとき、その「襲名披露パーティー」なるものが開催された。同じ名誉を授与された大鵬や北の湖のときにはそんなことはなく、時代の流れを感じたものだがそれはさておき、これは「襲名」ではない。TV中継もされたが、このときの司会は露木茂で、言葉のプロと言われるアナウンサーとしての見識を疑った。

 近年では、林家木久蔵が息子にその名前を継がせ、自らは「木久扇」を名乗ることになったときに、「ダブル襲名」と言っていた。これも襲名は木久蔵だけで木久扇は新しい名前だから襲名ではない。

 マスコミは影響力が大きいから、さほど敏感でない人々には正しい使い方として受け取られていることが想像される。こうして言葉は変化していくのだろうが、間違いが発端というのは納得できない。「あたらしい」「だらしない」はそれぞれ「あらたしい」「しだらない」の言い違えから定着したが、そういう間違いとは質が異なるのだ。

 とはいえ、こういう嘆きをよそにこの流れは進行し、後の辞書にはその意味が付け加えられることになるかもしれない。と思って2005年発行の「新明解第六版」を見ると、「破天荒」の項に「異例」「突拍子もない」の意味での用例が載っていた。。すでにそこまで認知されているのなら、本来の意味の拡大と思って許すしかないか・・・。

 「襲名」には本来の意味しか載っておらず、ほっとした。「新たに名乗ること」という意味が載らないうちに、この世とおさらばしたいものだ。
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