現在総理大臣を務めてゐる安倍晋三といふ人物を、私はほとんど評価してゐない。その理由をここで書くつもりはないが、あまりにもひどい発言があったことを知ったので、年末にあたって記録してをかうと思った。

 今日のリテラにあったのだが、5月の衆議院予算委員会で、「私は立法府、立法府の長であります」と言ったらしい。この記事は「安倍首相が発したアホバカ発言集」といふタイトルで、今年のさういふ発言を列挙したものだ。

 いくつか挙げられてゐるが、これはあまりにもひどいと思った。現場を見てゐないし、詳しく書かれてゐないので、どういふ流れだったのかは分からないが、逆に「私は行政府の長ですから・・・」と言って改憲関連の質問に答へなかった場面を見たことがある。この時は、「憲法問題を審議する機関があるのだからそちらで議論してください」と言ふ前の枕詞だった。うまく逃げたなと思ったものだ。
 
 総理大臣は行政府の長だから、彼が言った事はもちろん正しいのだが、別のところで「立法府の長」と言ったのなら、きちんと認識してゐると言ふより、逃げ口上として思ひついただけではないか?といふ疑念が生じる。それを確かめるには5月の議事録を見る必要があるが、ちょっと面倒だ。そして、リテラによればそこは修正されてゐるらしく、事実なら二重に嘆かはしい。

 三権分立や議院内閣制は確か中学で教へるはずだ。何かの弾みだったにせよ、中学生でも知ってゐる基本的な政治の仕組みを国権の最高機関の場で間違ふ人物がこの国のトップにゐる・・・そしてその発言がこっそり修正される・・・


 一応付記するが、リテラは反安倍政権を前面に出してゐるサイトである。現政権あるいは安倍個人をよく批判してをり、時には過剰な表現もあって今日の記事にもその傾向が出てゐる。しかし、でたらめを書くやうなところではない。

 
line
 今日(12/15)、安倍プーチン会談が行はれ、何らかの進展があるのではないかと期待されてゐる。それは終わってみないとわからないが、かういふ記事があった。

 知らなかったといふのは、1992年に日ロ外相会談があり、コズイレフ外相が秘密提案をしたといふ事だ。その内容は、「(1)歯舞、色丹を引き渡す手続きについて協議する、(2)歯舞、色丹を引き渡す、(3)歯舞、色丹問題の解決に倣う形で国後、択捉両島の扱いを協議する、(4)合意に達すれば平和条約を締結するというものだった。」

 当時はソ連崩壊の直後で経済は混乱してをり、ロシアは弱気になってゐた。だから譲歩したらしい。日本の外相は渡辺美智雄だったが、四島一括といふ政府方針を変へず、そのうち更に譲歩するといふ希望的観測に立って、この提案を受け入れなかった。しかし、その後ロシアは持ち直し、更なる譲歩どころか後退した。日本は最大のチャンスを逃した、と筆者は言ふ。


 私は、以前もここで書いたことがあるが、二島返還で手を打つしかないと考へてゐる。19世紀の日露和親条約以来、両国は領土に関していくつかの取り決めをしてきた歴史があるが、1956年の日ソ共同宣言が最新のものだ。その前に第二次大戦があり、現状はその結果生じてゐる。周知の通り、ソ連は日ソ不可侵条約を無視して樺太と千島に侵攻した。背景にヤルタ協定があったのだが、日ソ間で考へれば不法に占拠した事は間違ひない。

 その事を、日本はずっと四島一括返還の根拠の一つとしてきた。しかし、条約を無視して侵攻といふのは、あっても不思議ではない事だ。この記事の筆者は、戦争で奪はれた領土は戦争で取り返すのが基本と書いてゐる(戦争せよといふ意味ではない)。日本がそれをしなかったのは、第一に壊滅的な打撃を受けた状態でそんな力がなかったからだ。そして占領時代に入り、新憲法で戦争を放棄する。戦争は憲法上からもできない。だから外交交渉で・・・となるのだが、その成果が共同宣言だ。

 しかし、その後日本は四島一括返還を主張するやうになる。理由はいろいろあるのだが、ソ連・ロシアから見れば共同宣言の無視だらう。その意味では、不可侵条約を無視した事と似てをり、ソ連もそれを指摘してきた。一昨日、偶然プーチンへのインタビューをTVで見たが、そこで彼も共同宣言が出発点と言ってゐた。

 一般に、戦後処理は何かと面倒なものだが、日ロ間ではもう70年も済んでをらず、異常と言ふべきだ。そろそろ終わらせないと既成事実の重みが増す一方で、百年二百年ともなれば旧島民といふ言葉すら消えてしまふかもしれない。一方で、ロシアの島民は5代目6代目・・・となり、帰属問題って何のこと?となるだらう。

 さて、安倍首相はどういふ姿勢で臨むのか・・・・・・

 
line
 例の土人発言問題についてなのだが、今日(11/20)の「そこまで言って委員会」でも取り上げられてゐた。この番組の性格から言って、機動隊員を擁護する発言が主流であることは当然なのだが、その中で、反対派が検問をしたり、暴言を吐いたりしてゐたことを取り上げ、どっちもどっちといふやうな事も言はれてゐた。

 こういふ言ひ方は、この番組に限らずネット上にもたくさん見受けられる。一見もっともだとも思はれ、反対派に好意的な人でもさう思ふかもしれない。しかし、ここには重大な見落としがある。

 国家権力と民衆といふ視点だ。機動隊は国家権力の出先機関であり、逮捕権も持ってゐる。一方、民衆にはそれがない。あるのは抵抗権であり、それをどう考へるか、あるいはそもそも考へてゐるのかが問はれねばならない。一般的には、民主主義なのだから表現の自由があり、基地反対を言論やデモなどで訴へるのは問題とされない。しかし、少し度を超すと、かういふ意見といふか反応が現れる。

 そもそも、抵抗権といふ言葉自体が近年ほどんど聞かれない。アメリカ独立戦争もフランス革命もその成果であり、さういふ過程を経て近代社会を獲得した欧米諸国に比べると、日本にその概念が根付いてゐないのはやむを得ない事かもしれない。とはいへ、さういふ歴史を学んだ者、中でも実際に反権力闘争の経験がある者にとっては常識である。

 70年安保や成田闘争の終焉から大規模な大衆運動は姿を消した。その前後に生まれた者たちが、いまや社会の中枢を担いつつある。さういふ社会で抵抗権が忘れられてゐるわけだ。久々に学生の集団として登場したシールズも、普通のデモ以上のことは代表の奥田氏が時々メディアで発言するくらいだった。

 さて話を戻すが、機動隊に対する暴言などは抵抗権の表出の一つだ。日常生活にをいては批判されて当然の事だが、状況が全く違ふ。国家権力との対峙なのである。そこにをいて、日常生活での抑制は働かない。手っ取り早く言へばケンカの最中みたいなものだ。落ち着いた?見方をする人は、機動隊は混乱を予測し、不測の事態を避けるために警備をしてゐるのであり、ケンカをしてゐるわけではない、と言ふかもしれないが、それは認識不足である。イベントでの雑踏警備とは違ふのだ。

 誤解を恐れずに言へば、かういふ場では、民衆の暴言は許されるが権力側のそれは許されない。機動隊員は暴言を吐きつけられても耐へねばならない。それが給料をもらって権力を委譲されてゐる者の義務なのだ。百歩譲って「どこ掴んどるんじゃ、ボケ」までは許しても、「土人が!」は絶対に許されない。

 この機動隊員は何らかの処分を受けたさうだが、おそらく彼には不満があるだろう。同じ状況なら他の隊員も似たやうな言動をしたはずで、自分は運が悪かっただけ、と思ってゐるかもしれない。もしさうであるなら(その確率は高い)、警察組織全体とまでは言はなくても、少なくとも公安警察といふ組織の問題である。

 さてをき、一般人にも抵抗権といふ概念や、国家権力と民衆といふ視点をもっと理解してほしい、といふのが一応の結論である。
line
 アメリカの大統領選挙が終わり、トランプが当選した。色々な事が言はれてゐるが、私としては日本の軍事面にかなりの関心を持ってゐる。

 トランプは、「アメリカ ファースト」つまり国内問題を第一に考へる事を基本的姿勢としてゐる。軍事面では「世界の警察はもうやめる」、「軍事同盟は公平であるべき」と主張する。NATOに莫大な金をつぎ込んでゐる事や、日米安保の現状は「不公平」の例だ。

 彼は、日本が在日米軍の費用を全部出さないなら撤退させると言ってゐる。これはおそらく八割方本気の発言で、実現するかどうかは見通せないが、とりあへず日本に負担増を要求するのは間違ひないと思はれる。現在でも、所謂思いやり予算を計上してをり、02年の数字では75%にもなってゐるさうだ。全額出すなら、1/3増額といふことになる。具体的な額は16~20年度の5年間で9500億円弱、現在も75%だとすれば、年間630億円ほどの増額になる。

 それが果たして可能か?今の日本にはかなり重い負担と思はれる。ならば米軍の撤退を受け入れるか?安倍政権は撤退など眼中になく、増額の程度をできるだけ少なくといふ方針を取るだらう。しかし、冷静に考へれば、外国の軍事基地がある事自体、本来は異常なのだ。日米安保には、アメリカが日本を武装解除して占領した状態の継続といふ側面がある。サンフランシスコ条約からすでに64年、いまだにその側面を持ち続けてゐるわけだが、米軍撤退はむしろ歓迎すべきことではないか。

 では日本の防衛はどうするのだ、といふ問題になるが、自衛隊がある。「戦争をしない自衛隊」では心もとない、といふ指摘は当然あらうが、自衛戦争はできるといふ憲法解釈が確定してゐるから心配ない。戦力もかなりのものと言はれてゐる。米軍がゐない分、増強する必要があらうが、その額はトランプが要求するものと比べてどうなのだらう。よくわからないが、仮に同額であるなら、外国の軍事基地があるといふ異常が解消されることが大きな利点となる。沖縄の諸問題も一気に解決に向かふだらう。

 日米安保は破棄、もしくは軍事面を削除した友好条約のやうなものにすればよいだらう。その場合、中国や北朝鮮などが攻めてくるといふ事態を心配する声が大きくなりさうだが、脅威と言はれてゐるものは、実はプロパガンダにすぎない。尖閣・竹島は外交問題として対処すべきもので、ドンパチやる必要はない。もっとも、実際に中国や韓国が軍事行動をとれば自衛権を発動することになるが、現状でも、その場合在日米軍は動かないのだから同じことである。

 北朝鮮のミサイル攻撃、これはいかにもありさうに言はれてゐる。もしあったら防げないのはすでに実証済で、それが核なら悲劇的だ。だから防衛能力を高める必要がある。しかし、アメリカの核の傘の中にゐるから北が日本を攻撃しないのではなく、成功の見通しが立ってをらず、機も熟してゐないからやらないのだ。条件が整へば、核の傘にかかはらずやるだらう。だから、国際社会全体として、機が熟さないやう努力するしかない。
line
 敗戦以来ずっと、「戦後」といふ言葉が使はれてきた。「今年は戦後〇年」は毎年8月にはマスコミを賑はすし、8月以外にも結構耳にする。私が若いころよく使はれ、自分も使った言葉に「戦後民主主義」がある。それは「大正デモクラシー」との対比で言はれたのではないかと思ふのだが、ともあれ近年はほとんど聞かれない。

 「戦後」を冠にした熟語はこれしかなかったやうに思ふのだが、最近新しいものができた。それは「戦後レジーム」で、誰が言ひ始めたか正確には知らないが、安倍首相ががよく使ふのは間違ひない。それは「戦後レジームからの脱却」といふフレーズを作るのだが、その意味するところは、アメリカから押し付けられた憲法を自前のものに代へ、真の独立国家たらんとすることらしいが、内実は帝国憲法の方向に戻すことのやうだ。

 その一環として最も力を入れてゐるのが憲法9条の解釈変更だ。これは本来改憲を要する事なのだが、ハードルが高いため、解釈によって現実との整合性を工夫してきた歴史がある。それでも、集団的自衛権の行使は認めないといふ一線は守られてきた。しかし、昨年閣議で部分的に認めることに変更し、それに基づいて所謂安保法制を整備してきた。

 
 さて、本題の契機は「駆けつけ警護」である。これは、国連PKOに参加してゐる自衛隊に与へられる新たな任務で、NGOなどが攻撃された場合に現場に駆けつけて警護するといふもので、その際武器の使用も許される。つまり、戦闘が行はれる可能性があるのであり、自衛隊員に死傷者が出るかもしれない。

 PKOに参加した経験のある元自衛隊員に聞いたのだが、宿営地に流れ弾が飛んでくることはよくあったさうだ。幸い死傷者は出なかったが、駆けつけ警護なら流れ弾ではなく、狙った弾丸が飛んでくることになる。死傷者が出ない方が不自然と言ふべきだ。

 12月にその任務を実行させる事こになるらしいが、今国会ではそれについての議論も行はれてゐる。そもそも、PKO参加五原則といふものがあって、その一つに、紛争当事者間に停戦合意が成立してゐることがある。スーダンと南スーダンの間にそれはあるのだが、現地では、政府軍と反政府軍による内戦が進行してをり、7月には首都ジュバで300人ほどが死ぬ戦闘もあった。しかし安倍首相は、そこで衝突はあったが戦闘は行はれてゐないと答弁してゐる。だからPKO派遣は適法であり、駆けつけ警護もリスクの高いものではないとする。

 かういふ詭弁がまかり通ってゐる以上、駆けつけ警護は実行されることになりさうだ。そこで戦闘になる確率は高く、死傷者が出る可能性も低くはない。いづれにしろ71年間やらなかった戦争が起きる。即ち「戦後」の終焉である。仮にさうなった場合、政府は「これは戦争ではない」などと言ふに決まってゐるが、そんな「大本営発表」を「安倍様命・稲田様命」の右翼以外、だれが信じるだらう。

 もし死者が出たなら、靖国神社は彼を戦死者として祀るはずだ。反対もあらうが、一宗教法人の行為を禁じることはできない。靖国が合祀を強行すれば、ある意味「戦後レジームからの脱却」が成就する。安倍首相の言説からは戦前回帰を望んでゐるのが窺はれるので、敢えて強引に解釈すれば、さういふ事態を狙ってゐるのかもしれない。
line
line

line
プロフィール

丸山恒平

Author:丸山恒平
FC2ブログへようこそ!
1949年1月生まれ、還暦を期にブログを始めました。記述することは多岐にわたります。
コメント歓迎・反論歓迎・トラックバック歓迎・リンクフリーです。

BLOGRAMに登録しています。できればカレンダーの下のタグをクリックしてください。

line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
line
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
line
フリーエリア
line
フリーエリア
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QRコード
line
sub_line