都議選が終わり、小池知事の与党「都民ファーストの会」が圧勝した。自民党は57から23に激減、過去最低は38議席ださうで、それを大幅に更新した「惨敗」である。原因は色々分析されてゐるが、ここ半年ほどの国政の状況が影響したのは間違ひない。都議選は、他の道府県議会選挙とは国政との関連に大きな違ひがある。東京都や都民ファーストの会の事はよくわからないが、この惨敗によって安倍政権が揺らぐ可能性が高く、それは大いに歓迎できる。

 「安倍一強」と言はれてきたが、実は自民党内にも安倍への反発があったやうだ。様々な事情から表立った動きにはならなかったが、この結果を受けてそれが噴出する気配がある。石破茂はその筆頭とも言へるだらう。彼は来年の総裁選への出馬を噂されてゐるが、それへの追い風が吹き始めるかもしれない。また、内閣改造を予定してゐるらしいが、状況によっては倒閣運動が起きるといふ予想もある。

 ともあれ、「安倍一強」に陰りが差すのは確実と思はれる。それは自民党内の話だが、衆院選があれば自民党の敗北も予想される。もっとも、解散権は首相にあるので”近々総選挙”とはならないだらうし、仮にあっても自公で過半数を確保できないほどに負けるとは思へないが、安倍晋三や自民党が現在より後退するのは日本国のために良い事だ。「共謀罪」法案は成立してしまったが、その運用へのチェックや、報道への締め付けが緩むことも多少は期待できるからだ。

 安倍晋三の退陣は早ければ早いほどいい。下手するとあと4年半やるのではないか、といふ絶望的な状況から少しは抜け出て、わずかながら望みが出てきたといふのが都議選結果への感想である。
line
この映画のタイトルだけは知ってをり、観たいと思ったのを覚えてゐるが、WIKIによれば1966年6月の作品で、受検勉強の時期だった。その後、68年3月の第5作までシリーズ化されてゐるが、今回DVDを借りて第1作を観た。主演は市川雷蔵(次郎)で恋人(雪子)役が小川真由美、他に重要人物として加東大介(草薙中佐)や待田京介(前田大尉)らが出演してゐた。

 内容は想像してゐたのとはかなり違ってゐた。訓練の様子や実際の諜報活動が描かれてゐると思ってゐたのだが、それはもちろんあったものの、主要なテーマはスパイである事の非情さだった。また、意外だったのは軍の幹部を批判してゐる事だった。それが史実かどうかは不明だが、創設者の草薙中佐は、将校たちは自分の出世を考えるだけで大局を見てをらず、その為諜報活動の重要さを理解してゐない、だから予算も少ないと嘆き、友人の参謀本部大佐に予算を回してくれと頼んだりする。

 そして、スパイの理想的な姿を日露戦争時代の明石大佐に求める。それは忍法で言ふ「草」に似てをり、敵地に溶け込んで生活し、かの地を内部から崩壊させるといふ活動である。開校当初に、一人の優秀なスパイは一個師団に相当する事を説明してゐるのだが、明石大佐はロシアに潜入してレーニンを動かし、ロシア国内を混乱させて日露戦争の勝利をもたらしたのであり、そのやうになれば一師団どころか一国に相当する、そしてスパイの精神は「誠」であると言ひ、生徒たちを心酔させる。


 さて、主人公次郎は陸軍少尉として勤務に就くが、ある日草薙に面会し、いくつかの奇妙な質問を受ける。数日後、陸軍省に赴く事を命じられ、ある粗末な建物に連れていかれる。そこが「学校」であり、次郎と同じ立場の者が18名ゐた。すべて普通の大学を卒業後、予備士官学校を出た新任の少尉で、スパイには普通人の感覚が必要といふのが大卒から選んだ理由だった。そして、偽名を名乗り、一切外部との接触を断つ事を命じられる。「奇妙な質問」は、実は選考試験なのだった。

 婚約者である雪子は、消息の途絶えた次郎を探すため、タイピストとして勤務してゐたイギリス人経営の会社を辞め、参謀本部の暗号班に勤める。その際力になってくれた前田大尉から、結婚を前提とした交際を求められる。前後して、イギリス人の社長から次郎が銃殺されたと聞かされる。理由は反軍的な言動とされてをり、そんな陸軍への復讐としてイギリスに協力する事を求められ、承諾する。実は彼もスパイだったのだ。

 一方、次郎はイギリスの暗号コードを手に入れる事を卒業試験として命じられる。それは、前田大尉が担当する解読が成果を挙げてゐないのを知った草薙が、予算を回すことを条件に大佐に提案した事で、他に二人が指名される。そして、何の痕跡も残さずに横浜の領事館にあるコード表を撮影する事に成功する。その経過が映画としては一番の見せ場で、実に面白かった。

 ところが、イギリスはすぐにコードを変更し、せっかくの苦労が水の泡となる。前田大尉が雪子にコード表が手に入った事を漏らし、彼女からイギリス人社長に伝はったためなのだが、それを突き止めたのは次郎だった。報告を受けた草薙は、憲兵隊に捕へられ、拷問された上で死刑になるよりはお前の手であの世へ送ってやれと言ふ。

 次郎は雪子を訪ね、死んだと思ってゐた彼女を喜ばせる。そしてダンスや食事を楽しんだ後、ホテルに誘ふ。そこで三々九度のまねごとをするのだが、その際ワインにやや遅効性の毒を入れる。そしてベッドに入るのだが、間もなく雪子は絶命し、次郎は自殺に偽装してその場を去る。「今までどこで何をしてゐたの?」といふ質問には、後でゆっくり話すと言っただけで、結局何も告げずに事を終える。実に悲しい事だが、スパイになり切った次郎は冷静だった。非情と言ふしかない。
line
 おととい、高校の同期会があった。卒業50周年記念で、幹事が目標とした100人にわづかに及ばない出席数だったが、初めての出席者も少なからずをり、その中にJといふ友人がゐた。

 互ひに気づいて、「おお、しばらくだったな」に始まる会話をしたのだが、ところで俺たち、何でかういふ間柄なんだ?といふ話になった。クラスも違ってゐたし、課外活動で一緒だった事もないのだ。不思議だなあと笑ひあったのだが・・・。それから数時間後、二次会でTといふ女子と近い席に座った。彼女とは全く接触がなかったが、美人コンテスト上位の子だったので、こっちは知ってゐた。話しかけて私を覚えてゐるか訊いてみると、「覚えてるよ、可愛いかった」と言はれてびっくりした。生徒会の役員をやったので覚えてゐられても不思議ではないが、同年齢の女子からそんな事を言はれるとは夢にも思ってゐなかったのだ。

 実は、彼女の二つ下の妹と一つ下の従妹が自分と同じ茶道部にゐた。従妹の方は私のクラスメートの妻になってゐるといふ事情から昨年会ふ機会があり、その際三人の関係を教へてもらってゐた。そんなことを話してゐるうちに、「茶道部と言へばJ君もさうぢゃない?」「えっ、違ふだろ?」といふやりとりになった。本人に確かめるのが一番、彼を捜して尋ねると事実だった。それでやうやく不思議が解明されたのだが、互ひに忘れてゐたのは、彼があまり熱心な部員でなかったせいだった。ついでながら、彼女とJは幼稚園時代からの幼なじみで、50年ぶりに会ったのだった。

 ともあれ、互ひに記憶が飛んでゐる事を認めて苦笑するしかなかったが、さういふ事があるのも同期会の良さである。
line
 AERAdot. に面白い記事が載ってゐた。田中真紀子が安倍晋三を批判してゐるのだが、この二人は1944年生まれと1954年生まれ、真紀子がちょうど10歳年長だが、1993年初当選といふ同期ださうだ。

 面白いと言ふのは歴史認識の違ひで、初当選から間もない頃ある会議で交はした私語を真紀子は日記に残してゐる。その部分を引用する。

 : 田中氏「日本が敗戦して」
   安倍氏「真紀子さん、今なんて言った?」
   田中氏「敗戦よ」
   安倍氏「あれ終戦なんだけど」
   田中氏「中国や東南アジアへの侵略戦争でしょ」
   安倍氏「違う違う。アジアを解放するために行ったんだ」:

 なるほどねえ・・・かういふ見方はもう少し後から出始めたと思ってゐたが、90年代初めには既にあったわけだ。私は「新しい歴史教科書をつくる会」の運動が世間に知れ渡ってから知ったのだが、今調べてみると「つくる会」は1996年に発足してゐた。突然できるわけではないから、もっと前からその見方があったのは当然と言ふべきか。


 ともあれ、真紀子の晋三批判は的確で、政権の運営方法を「厚顔無恥、傲岸不遜」と切り捨ててゐる。加計学園の件では、現役時代に言へるはづがないとし、前川氏が出会い系バーに通ってゐると暴露した事には「西山事件と似てゐる」と言ふ。さうさう、彼は外務官僚の女性と「情を通じて」秘密を聞き出した、として起訴されたのだった。確かにそっくりだ。私の友人は、彼のブログで「こんな人物がトップに出世する文科省の病理」と書いてゐるが、真紀子の指摘の方が核心を衝いてゐると思ふ。

 真紀子はもう退陣すべきと言ってゐるが、全く同感である。
line
 「共謀罪」が成立した。徹夜となった参議院で、朝の8時少し前に可決された。衆議院通過の段階で会期末まで数日しかなく、野党の抵抗で審議未了になる望みもあった。また、それを見越して会期を延長するのでがないかといふ観測もあった。ところが現実には、委員会審議を省略して本会議で採決するといふ、異例の手法が使はれた。これは「特に緊急を要する場合」に認められてゐるさうだが、会期末が近いといふのが「特に緊急」とはとても言へない。必要なら延長も可能なのにそれもやらず、今国会で成立させなければ困るやうな法案でもない。どうやら、安倍政権の都合による「緊急」といふ意味合ひが濃厚だ。

 その「都合」についての詳細はさておき、成立自体は予想された事であるが、さういふ経過での成立だった事は記憶しておくべきだらう。それはある意味、この法律の怪しさの象徴とも言へるからだ。

 前回書いたやうに、標榜されてゐるテロ対策としてさほど有効とは思へず、戦前の治安維持法のやうな運用への懸念の方が大きい。反対意見もその点を主な理由としてゐる。さういふ心配はないと政府は言ふが、国会審議や官僚の解釈などから心配があることが見えてきてゐる。要するに、この法律が政府の方針に反対する言論や行動を取り締まるために利用される可能性が少なからずあるのだ。特に、安倍晋三の政治手法にはそれをするだらうと思はせるに足る印象がある。将来、彼ほどに強権的手法を取らない者が政権のトップに就いても、時代の様相が、時の政権にこれを悪用する事を思ひつかせるかもしれない。その際、安倍政権時代に前例があった、といふ事になるのではないだらうか。

 また、公安警察は反政府活動を監視してをり、一つ間違へば思想・信条の自由を侵害する組織なのだが、そこに踏み込まうとする場合にこの法律を根拠に適法とする事ができる。もちろん建前としてはダメなのだが、理屈は何とでもつけられる。そしてさういふ事例が明らかになると、言論が萎縮する。その行きつく先は昭和10年代である。

 治安維持法の制定からおよそ10年でさういふ時代になったのだが、仮に安倍政権があと4年半続くと、前述の「前例」がいくつか作られ、2020年代の後半あたりから「物言へば唇寒し・・・」になってしまふかもしれない。願はくは杞憂に終わってほしいものだが、もっと言へば、できるだけ早くこれを失効させる法律を作ってもらひたい。

 

line
line

line
プロフィール

丸山恒平

Author:丸山恒平
FC2ブログへようこそ!
1949年1月生まれ、還暦を期にブログを始めました。記述することは多岐にわたります。
コメント歓迎・反論歓迎・トラックバック歓迎・リンクフリーです。

BLOGRAMに登録しています。できればカレンダーの下のタグをクリックしてください。

line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
line
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
line
フリーエリア
line
フリーエリア
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QRコード
line
sub_line