大杉漣が昨日急逝した。それを知ったとき「えっ?」と思ったのだが、「元気だったんじゃないの?」といふのがその理由だ。

 芸能界に詳しい訳ではないが、ネットのニュースなどのタイトルを目で追ふくらいの事はするし、ワイドショーの類もそこそこ見る。しかし、彼が病気といふ事は見た事がないし、何かのドラマで見たやうにも思ふ。何よりも、脇役を扱ったドラマの事を最近知ったのだが、それに出てゐるとその記事にあったのだ。

 彼を初めて見たのは何かのTVドラマだったと思ふが特に気にとめた訳ではなかった。しかし、その後次第に見ることが多くなり、いい脇役だと評価するやうになった。昔から「名脇役」といふ言葉があり、主役を支へる優れた俳優に対するほめ言葉として使はれてきた。私の記憶にある最も古い名脇役は宇野重吉だが、近年ではたくさんをり、大杉漣はその筆頭グループに位置すると思ってゐた。その評価が外れてゐないのは、前記のドラマ「バイプレイヤー」に出演してゐる他の名脇役たちから一目置かれてゐる事で明らかだ。そのこと自体、訃報を告げるニュースで知ったのだが・・・。

 ところで、死因は急性心不全と伝へられてゐる。仕事場で腹痛を訴へ、仲間に付き添はれて病院に着いたが、容態が急変してそのまま絶命したらしい。直前まで普通に生活してゐたやうだ。1951年9月生まれとの事なので私の3学年下だが、その年齢で突然死ぬ事もあるのか・・・と改めて驚いた。この世を去るにはPPK(ぴんぴんころり)が理想と言はれ、自分もさう願ってゐるが、六十代後半は早すぎる。彼はまだ現役バリバリで、少なくともあと10年くらいは活躍できるはづだったと思ふし、本人もそのつもりだったn違ひないが・・・諸行無常といふほかない。
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 間もなく平昌オリンピックが始まる。北朝鮮の動きなど、何かと「場外」の話題が多いが、ここでは純粋に、私が最も注目してゐる選手の事を書く。高梨沙羅である。

 4年前、ソチ五輪直前の競技会をTVで見た時、金メダル間違ひなしと思った。他の選手とは次元が違ふと感じたからだった。しかし、本番では金メダルどころか表彰台にも上れない4位だった。その時私は1972年の笠谷選手を思ひ出した。日本人が表彰台を独占した70m級でその中央に立ち、90m級でも金間違ひなしと思はれてゐた。しかし2本目に失敗し、4位に終わってしまったのだった。あの笠谷にしてさういふ事があったのだから、わづか17歳の少女が失敗しても仕方ない・・・とは言ふもののやはり残念だった。もちろん本人が一番悔しい思ひをしたはづである。

 それから4年、昨シーズンまでは国内大会やW杯でたくさん勝ち、今度こそ金メダルと予想してゐた。ところが、今シーズンはあまり勝ってゐない。そして、ルンビといふノルウェーの選手がW杯7勝と断トツの成績を残してゐる。常識的に考へれば、彼女が金の最有力候補だらう。高梨危うし・・・。

 つい先ほど、NHKでやってゐたのだが、ルンビ選手は絶好調で勝ち続けてゐるのに対し、高梨は徐々に調子を上げ、ルンビに追いつきさうな感じになってゐるとのことだった。ならば平昌では追いついた状態かもしれない。ルンビが下り坂に転じてゐるかもしれないが、それを期待するのは品がない。

 同じ番組で、本人は(ソチでは)自分を信じ切る事ができなかったと語ってゐた。プレッシャーがあった事も間違ひない。してみると、ルンビ選手が4年前の高梨と同じ状態になる可能性は小さくないと思はれる。


 とにかく、私としては隣町から出たヒロインが最高の舞台で最高位に立つ事に期待するし、彼女のためにも勝って雪辱を果たしてもらひたい。私が考へる最高の結果は、高梨が金、ルンビが銀、そして伊藤が銅、3人は小差といふものである。
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  今朝の「ビビット」で、興味深い事実を知った。先頃確定した今上陛下の譲位の年が結婚60年と重なる事にちなんで、結婚前に恋のキューピッド役を務めた織田某といふ人の秘話を聞くといふ特集があったが、その中での本題とは別の事柄だった。

 それは譲位に関はる事で、1993年にはすでにその事をお考へだったといふ証言である。一般には昨年夏の「お気持ち表明」で知られる事になったのだが、20年以上前からの考へだったわけだ。しかも、そのきっかけとなった事は皇太子時代に遡る。具体的には、織田氏の推測だが、天皇の名代としてヨーロッパを歴訪した事らしい。

 その経験を通じて、天皇その人と名代や摂政では重みが全然違ふ事に気づき、天皇の務めは天皇がするべきといふ考へに至ったらしい。だから、それが困難になったら摂政を置けばよいといふわけではない・・・従って譲位、と続く。「お気持ち表明」では摂政に否定的だったが、さういふ意味だったのかと認識を新たにした。


 昭和天皇は、60年を超える在位の三分の二を、先の三分の一との違ひに恐らくとまどひつつ、象徴としての道を歩んだと思はれる。今上陛下はその長男として、その道を受け継ぎ確立させる事を自らに課したのだらう。その結論として、象徴天皇のあるべき姿とそこから導かれる譲位の必然性を述べたのが「お気持ち」だったわけである。従って、譲位は一代限りの特例ではなく、将来に亘って保障されるべき選択的制度として言外に語られたと解するのが妥当だ。

 日本国憲法が謳う「象徴」には具体的な内容がない。憲法の教科書には国事行為が説明されるだけで、著者たる学者もそれ以上象徴のあり方を考へる事はしてこなかった。従って天皇自身が考へるしかなく、昭和天皇も今上陛下もそれを実行されたわけだ。二代70年かけてたどり着いた結論には重みがあるし、妥当性も十分であり、「叡慮」と言ふべきである。


 日本会議などは譲位に反対する(*)。皇国史観に立って帝国憲法に戻りたいからなのだが、その本心を隠して、「天皇は存在自体が尊いのであり、その尊いお方が民の幸せを祈ってくださるだけで十分ありがたい、(体力的につらければ)公務などなさらなくても結構です」と言ふ。それは安倍晋三の姿勢でもあるのだが、世論の大勢に鑑みて一代限りといふ妥協をした。もっとも、世論の大勢は一代限りに反対なのだが、時間の問題を言ひ訳にして特例法にしたのが実情だ。

 しかし、この先時間をかけて恒久法を検討するかと言へば、少なくとも安倍政権にその気はない。その先はわからないが、自民党政権が続く限り望みは持てない。日本会議などの意向に配慮せざるを得ず、皇室典範には手をつけたくないからだ。2~30年後に同じことが課題として浮かんでくればあるいは・・・と思ふが、そのときの状勢次第だらう。


 ところで、番組の主眼としての結婚秘話だが・・・当時の皇太子が美智子さんに「柳行李一つで来てくれればいい」と言ったのが決定打になったと流布され、私もそれを信じてゐたが、実際は違ってゐた。天皇自身が「さうは言ってゐない」と話す20年くらい前の映像があった。そして織田氏によれば、「立場上妻を第一に考へる事はできないが・・・」との前置きをしてからプロポーズした。それが婚約発表会見での「ご誠実で・・・」といふ美智子さんの発言につながったのだらうといふ事だった。

 (*)右翼にも色々違ひがあるが、小林よしのりは日本会議を批判してゐるさうだ。単にY染色体に敬意を捧げてゐるだけで天皇や皇族を尊敬してをらず、自由が大幅に制限されてゐることにも思ひを至してゐないなどが理由らしい。

 
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 特別国会は、総選挙の結果を受けて首班指名から新しい内閣の発足といふ手続きのために招集される。だから会期は短いのが普通だ。しかし、今回はかなり長い。それは、野党の要求を無視し続けた末にやうやく開催した臨時国会を冒頭で解散してしまったため、審議ゼロだった事を考慮したからだ。ところが、審議に入る前に質問時間についてのゴタゴタがあった。与党の質問時間を増やせといふのが発端だが、私はこのニュースで初めて、与野党の時間配分が2:8であるのを知った。

 国会中継を見ること自体少ないが、与党議員の質問は提灯持ちといふ印象である。そもそも、国会での質問は政府の提案に対するものであり、多くは疑問点を追及する。与党議員はその提案の作成に携はる立場であり、疑問点があればその段階で説明を受け、納得したり修正したりが可能である。もっとも、すべての議員が携はるわけではないから、国会の場で質問したいと考へる議員がゐても不思議ではない。しかし、実態は提灯持ちでしかないのだから、それは単なる可能性の話だらう。

 報道によれば、国会で質問する機会のない若手議員の、選挙区で「仕事をしてゐないのではないか?」と言はれるから質問してゐる姿をTVで見せたい、といふ要望から始まったらしい。そして、党総裁たる安倍首相が議員の数に応じて質問時間を配分するのは合理的と言ったやうだ。それで与野党の協議が行はれる事になったのだが、相変はらずこの人物は三権分立や議会制民主主義を分かってゐない。

 自民党は当初7:3と言ってゐたやうで、まさしく議員数に応じた配分だった。ただし、それが通るとは考へてをらず、実際の協議では5:5を主張した。野党は従来通りの2:8を主張し、結果として1:2となった。

 さて、代表質問に先立って加計学園に関する審議があり、そこでこの時間配分が適用されたのだが、トータル80分の与党の持ち時間のうち、義家議員が30分を使った。彼は、総選挙前は文科副大臣であり、その問題で質問に答へる立場だった。さういふ人物が質問に立って、安倍の言ふ「丁寧に説明する」内容を引き出す事になるはづがない。義家は、総理のご意向、一般的に第三者の意向が反映するかといふ質問を発し、さういふ事はないといふ官僚の答へに対して、「具体的かつ丁寧な説明に感謝する」と言った。茶番としか言ひやうがない。

 加計学園の件には様々な疑問が出されてゐる。首相の友達だから優遇されたのではないかといふのが発端だが、獣医学部の実情についても、本来求められるレベルに達してゐないとか、教員が高齢でかつ数も足りないとか、果たして認可が妥当かといふ疑問まであるのだ。それらが最終的には安倍・加計の個人的関係に帰着する可能性があり、それこそが最大の疑念なのだが、臨時国会を開催しないことから突然の解散、質問時間の問題に至るまで、そこに追及が及ぶのを避けるための手段だったと見るのが自然だらう。会期はまだ残ってゐるが、首相の外遊などもあってさほどの事は期待できない。年内をなんとか乗り切れば次は通常国会であり、予算案の審議といふそれこそ重要な課題が最優先される。そこに盛り込む事はできても多くの時間を割くのは無理で、うやむやのまま次第に記憶が薄れるといふ、狙ひ通りの流れになる事が予測される。



 少し脱線するが・・・・・森友学園の事も含めて、これらを「どうでもいいことに時間をかけてゐる」とする見方がある。重要な課題が山積してゐるのに個人攻撃のやうな事をやるのは問題だ、といふわけだ。

 確かに重要な課題は他にもたくさんある。しかし、これらも重要な事であり、ましてや「どうでもいいこと」では全くない。事は行政の私物化であり、事実であれば安倍本人も言った通り辞任に値する問題なのだ。安倍晋三といふ人物に個人攻撃を仕掛けてゐるのではなく、内閣総理大臣といふ公人の現状があるべき姿なのかどうかといふ疑問を追及してゐる。「どうでもいいこと」とするのは、行政を私物化しても構はないといふ事であり、まともな見識に基づいた言葉とは思へない。
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 「大義なき解散」による総選挙が終盤にさしかかってゐるが、メディアの予測では自民党が勝ちさうである。現有議席を減らすとしてもわづかで、増える可能性の方が高いらしい。従って単独で過半数を獲るのは確実、公明党は現状維持になりさうで、与党が三分の二を占める事も十分ありさうである。安倍首相は「与党で過半数」を勝敗ラインとしてゐたが、それは希望の党ができる前のものであり、激変した野党の様相によって情勢も変化してゐる。

 野党の様相と言へば、当初は実に分かりにくかったが、公示を経て少し分かりやすくなった。小池百合子は、安倍一強を終わらせると言ってゐたが、政策面では自民党と大きな違ひがなく、単に安倍を首相の座から降ろしたいだけのやうである。前原民進党は、やはり安倍政権を倒したいのだが、その方法として野党の共闘ではなく一本化といふ道を選んだ。しかし、政策に関する踏み絵を提示されて分裂する事になった。これが小池前原会談でどこまで話されてゐたのかが疑問だが、枝野の新党結成を「想定内」と発言したので、どうやら知ってゐたと思はれ、ならば裏切りと言へるだらう。

 だから、枝野の行動は筋を通したものだが、それに加わる者が少ない事には失望した。それでも30議席ほどを獲れさうだと予測されてゐるのは、私と同様に考へる人がかなりゐる事を示してゐる。

 前原は元々民進党内の右派と言はれてをり、小池と合流したのは、アメリカ流の二大政党を目指したものだらう。アメリカは、社会主義・共産主義といふ意味での左翼は無視できるほどであり、資本主義社会を全面的に肯定した上での二大政党が時々政権交代を演じてゐる。ソ連崩壊で共産主義の敗北が明らかになり、数少ない共産主義国家も資本主義の様相を呈してゐる現代、その方向は世界史的必然なのかもしれない。

 であるならば、共産党や社民党は衰退するのが当然の流れで、その存在意義は根本的に反自民といふ点だらう。立憲民主党も上記の意味での左翼ではないが、根本的な部分での反自民といふところで彼らと共闘できるだらう。

 かくして、三極構造となった今回の総選挙は、自公が300~310、希望が70~80、立憲・共産・社民が60~70、残りがその他といふ結果になりさうである。二大政党とは言へないが、あと数回選挙があれば、立・共・社が凋落してアメリカに近くなるかもしれない。

 ともあれ、閣議決定で憲法解釈を変更し、それに基づいて強引に成立させた安保法制を支持する勢力が三分の二どころか85パーセントほどを占め、そのトップが安倍晋三といふのは、重大な事態である。その先には戦前回帰の改憲が想定されるからだ。この予測が当たるならば、日本の黄昏である。黄昏の先には暗闇が待ってゐる。アメリカが主導する戦争に協力し、その状況のもとで個人の自由がどんどん制限される事になりかねない。仮に改憲しなくても、解釈変更と安保法制、更には特定秘密保護法が有効である限り、その危惧は消えない。時事通信のオンライン記事(10/13)によれば、昨年夏に、安倍は改憲は必ずしも必要ではなくなった、なぜなら安保法制が成立した事で集団的自衛権の行使についてアメリカから要請がなくなったからだ、と田原総一朗に語ったといふ。これほど明確にアメリカの意向に沿ふ政治を認めるのは珍しいが、分かりやすいとは言へる。

 願はくは、まだ投票先を決めてゐない半分強の有権者の票が立・共・社グループに流れてほしいものである。さうならないとすれば、70年経って定着したかに見える日本国憲法の根幹を、実は多くの人が理解してゐないとせざるを得ない。敢て言へば、私の予想は悲観的である。
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